東洋史観 算命学を元に時代推移地図を作ると

東洋史観とは「東洋的な自然観を基に体系づけられた知恵の集積」のことであり、その軍略とは「人間集団の大計を誤りなく次の時代へ誘導するために考え出された知恵」のことです。
東洋史観の起源は古く古代中国に端を発する万象学で、歴史的には唐の時代に学問として体系化され、宗、明、清などの時代に帝王学として発展してきました。。
その中でも軍略としての学問としてわかり易い算命学を元に、国家や企業のサイクルというものを説明してみたいと思います。
占星術として捉えられがちな算命学ですが、これはそもそも道教思想の三部門、哲理(老子哲学)、宗教(礼拝する神学)、神仙(自然哲学)のなかの神仙を主とし、医術、天文、暦術などを含んだ万象学から生まれた運命学です。
歴史の積み重ねを元にしているので国家のトレンドを予測する学問として、かつては政(まつりごと)や戦争などに役立てられてきました。

もう少し詳しく説明すると、国家の大計を間違いなく次の時代へ導くための第一歩は「国家がどのような方向に向かって進んでいるのか」「国家が進んでいる道程にはどのような現象が待ち受けているのか」を知ることです。
それには、時代がどのような法則で推移していくかを、大局的に把握しておかねばなりません。
国家の動向は大河の流れにも似ていて、部分的に捉えようとすると全体の流れが見えなくなってしまいます。
そこで、世の中の動きを人間本能の集合体の変化として捉え、人間集団の背景にある時代の流れを把握することによって巡ってくる時代を予測し、誤りのない対応策を準備していくのです。
算命学では、国家のトレンドを10年毎に5つの時代推移に分け、50年をひとつのサイクルとして捉えることから始まります。

そもそも世の中を構成し動かしているのは人です。
人は五本能(攻撃、習得、守備、伝達、引力)を所有しているので、人間集団がつくる国家も大きく捉えれば五種類の本能が延長されたものになるはずです。
そのため、どの本能が世の中に色濃く表れているかを知れば、時代が変化していく方向が予想できます。
・守備本能が集結するときは「今までのものを守る平和な時代」となり、
・攻撃本能が結集すると「闘争心が台頭する動乱の時代」になり、
・習得本能が強まると「物事を学びたくなる習得の時代」になり、
・伝達本能が強まると「自由な意見や考え方を押し出す庶民の時代」になり
・引力本能になると「権力意識が高まる時代」をつくり出すことになる
傾向にあります。
そこで、時代という巨大な人心の集まりを”五本能”によって分類し、そこに”五行の相生循環”を考慮して分析していくのです。
(国家のトレンドは人間の五本能を根底にしているので、国家だけでなくすべての人間集団にも適応することができるので、以降、国家は企業と読み替えて頂いても構いません)

ざっと、五つの時代を国家の場合で示すと以下のようになります。
本能:国家:企業の順で説明すると、
攻撃:動乱期:創業期
習得:教育期:人材育成期
守備:経済確立期:発展期
伝達:庶民台頭期:分権期
引力:権力期:集権期
となります。

ここで示した五つの時代は、自然界と同じく五行の相生関係によって、
攻撃(金)→習得(水)→守備(木)→伝達(火)→引力(土)
の順序で循環します。
算命学では国家のトレンドを10年毎に5つの時代推移に分け、50年をひとつのサイクルとして捉えると説明しましたが、一つの時代は約10年で次の時代へ移行し、50年で一周するという循環が基本原則になるのです。
しかも陰陽説の介在によって、「陽周期」(一周目)と「陰周期」(二周目)の二種類に分けられるので、百年をもって一区切りとなります。
要は、50年サイクルが二巡することでひとつの時代推移地図ができることになるのです。

この方法で日本の時代の流れを見ると、現在の日本がどのような時代に向かって進んでいるのかを判定することができますし、日本だけではなく世界の国々の「時代推移地図」が作成できるのです。

では、具体的に時代推移地図を見ていきましょう。

日本時代推移地図1

上記は算命学の考え方を元に作成した今の日本の時代推移地図です。

五つの時代は地球が太陽の周りを回り続けるように、同じ方向へ向けて循環していくことになりますが、ここにはいくつかの約束事があり、
・人間の意識の集合体である時代が一つの区域を通過するのに、約十年の歳月を必要とする。
・時代と時代の変わり目にさしかかっても、白が瞬時に黒となるわけではなく、少しずつ時代の特色が表われてくる。時代の特色が最も色濃く出るのは中頃(スタートから5, 6年目)である。
・時代の出発点となるのは国家であれば憲法施行年、企業であれば創業年である。国家の基本法である憲法は国家を支えている秩序で、憲法が新たに施行されると国民に新しい理念が宿ることになる。
このような考え方に基づいて国家の誕生を憲法の施行年としているので、日本では1947年の日本国憲法の施行を元に西方の動乱期から出発することになります。

上の図からもわかるように、時代は大別すれば”陽の時代”と”陰の時代”に区分できます。
北東から南西にかけて線を引くと、右下半分に位置する「教育期の後半、経済確立期、庶民台頭期」が”陽の時代”です。
かたや左上半分の「権力期、動乱期、教育期の前半」が”陰の時代”となります。
季節の推移に例えれば、”陽の時代”は初春の雪解けから夏を経て初秋までの明るく暖かい時期です。
それに対して”陰の時代”は、初秋から冬の寒さを経て早春までの暗く寒い時期にあたります。
このような陰陽区分は、地球の公転から生まれる季節の推移が基になっていることがわかります。
北と南を陽と陰に区分したのは、季節の中で冬至点と夏至点に線を引き、太陽が地球にもたらすエネルギーの強弱を基準にしているからです。
東と西は春分点と秋分点に線を引き、同様に陽と陰に区分しています。

それでは、”陽の時代”と”陰の時代”にどのような現象が生まれるかを見てみましょう。
”陽の時代”は明るく経済活動が活発で、国力が上昇する時期であるのに対し、”陰の時代”は暗く不安と混乱が生じ、国力が衰退する時期です。
また”陽の時代”は国民の自己主張が高まり、価値観が多様化する自由主義的な時代で、国民の生活向上や文化が発展する時期です。
それに対し、”陰の時代”は国家が貧しくなるため、そこから脱却しようとする考えが優先し全体主義的な色彩を帯び、世の中のさまざまな基準は陽の時代に定まり、”陰の時代”に変化(崩壊)することになります。
従来の常識や価値観が崩れると、新しい平和期がやってくるのですが、こうして”陽の時代”と”陰の時代”が交互に繰り返すことで世の中は発展していくのです。
少し整理してみると、
動乱期:憲法が施行されて間もない時期、国としての基礎が固まっていない動乱の時代
教育期:動乱期が終わり、国家が安定する時期、将来を担う人材を育成する時代
経済確立期:教育期に育成された人材が活躍する時期、経済的基盤が確立される時代
庶民台頭期:経済が確立し全体が潤うことで庶民にも経済力がつく時期、庶民が台頭して世の中を動かしていく時代
権力期:庶民の台頭を抑えようとする官僚や政治家の支配強化が進む時期、経済・文化の活力が失われ国家が衰退する時代
となります。
こうして権力期で衰退・疲弊した国家は、再び動乱の時代へと突入していく(二巡目)場合もあれば、そのまま滅びていく場合もあるというサイクルです。

近年の日本に当てはめてみると、太平洋戦争に突入した時期が前回の権力期で、敗戦後の1947年の日本国憲法が施行されたことで新たなサイクルが始まったということになります。
そして50年経った1997年で1巡目が終わり、今は二巡目の動乱期を2007年に終えて教育期の最中ということになります。
このままいくと3年後の2017年には教育期を終え、国家が繁栄する経済確立期へと入っていくことになります。
まさに経済確立期の3年目である2020年には東京オリンピックが開催されますね。
つまり算命学的に見れば、今後の日本には繁栄の時代がやってくる可能性がある、という明るい見通しが立つ訳です。
このような例から見ても、算命学は歴史の積み重ねによる流れを元にしているので国家のトレンドを予測する手立てとして、今の時代にも十分通用する学問だと考えるのです。
なお、これは歴史に裏付けされた国家や企業の変遷のパターンを示しているものですので、占星術としてこの傾向が絶対という訳ではありません。
ですので、この内容を妄信して依存するのではなく、このパターンとトレンドから未来を読み解いてどう今後の行動を成していくか、という観点で捉えるのが望ましいと考えておいてください。

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