陰陽五行にもあるように、古くから東洋では精神や霊魂と肉体に色彩を当てはめて使ってきています。
肉体が生まれる東は青、
浄土の方角で亡くなる西は白、
精神や霊魂が生まれる南は赤、
亡くなる北は黒です。
四神(四象)もここから来ており、東方は青竜、西方は白虎、南方は朱雀、北方は玄武と呼んでいます。
仏教の”南無阿弥陀仏”は文字通り”南が無い”と唱えていますが、亡くなった人を北枕にするという風習もここから生まれています。
従って、お葬式などの幕や引き出物に白と黒を使用するのは、肉体も霊魂も共に消滅し、無事にあの世に行けるようにとの願いが込められているからです。
死に装束が白なのも、西方浄土を表しているからなんですね。
喪服も元々白だったらしく天皇に関わる方々だけが黒を着用されていたのが、次第に黒へと統一されていったとのこです。
戦争に負けて白旗をあげて降伏する習慣も、白が明示的に死を意味しているからとされ、それ以上の抵抗を行わない(動かない)ということを表しているともいわれています。
結婚式では新婦が白無垢、新郎が黒の紋付を着ますが、これは男性方は”自分の魂が尽きるまで”、女性方は”自分の肉体が尽きるまで”一緒に暮らしますという約束をすることからきているようです。
※)ちなみに結婚式の三三九度は、男性と女性と神様の三者が契約をするため、三者で三回ずつ酌み交わすことを表現しています。
赤が赤ちゃんというように出生を意味することからも、精神や霊魂が生まれるということを強く意識してきたことがうかがえます。
従って、お祝い事に赤白を使用するのは、生まれてから肉体が滅びるまでの霊魂の喜びを保ちたいという願いからきています。
紅白戦、紅白対抗などは、陰陽五行の観点から見ると歴史は浅いようで源平合戦あたりからきており、次第に相対・相克・対抗する2つの組を表す意味で定着していったようです。(でも浄土の白と思うと、あまりいい気分にはなりませんね^^)
生命に溢れ、成長(発展)が望める象徴として植物がありますが、これも青を表す言葉です。(古くは緑を青と言ってましたし、それは今でも信号機の青、青葉、青物野菜、青虫、青りんごといった言葉に残っていますね)
地鎮祭・上棟式などでは青白幕が使われますが、青色と白色の組み合わせが神聖な意味合いを持つ神事に使用されることが多いためだそうです。
これ以外にも、五行説の色は現代の日本にも生きています。
相撲観戦などを行っていると、大相撲の房に五色が配当されていますね。(東は青房、南は赤房、西は白房、北は黒房、そして中央には土を表す土俵として黄色)
江戸時代には、江戸城を中心に五不動が配され城を守る形になっていました((目黒不動、目白不動、目赤不動、目黄不動、目青不動)し、今も目白と目黒は地名として残っています。
このように色彩は、数千年を経過した現代の冠婚葬祭や土地の中にも生き続けています。
長い間、仏事に黒と白、祝い事に赤と白を用いて不思議さを感じないのは、自然のリズムに沿った色彩であったからなのかもしれません。
古くから、季節を文字だけでなく色彩で表現したのは、自然界の法則を人間生活に活用する知恵の賜物でもあるのです。
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