”古代から現代までの知の饗宴。
孔子、プラトンからアインシュタイン、ケインズまで、人類の歴史に大きな影響をもたらした世界の名著100冊を、縦横無尽に論じた驚嘆のブックガイド。”
といううたい文句を冠に沿えた、「人類の歴史に大きな影響を与えた」という観点でマーティン・セイモア・スミスが選んだ人文学の入門ガイド本『世界を変えた100冊』。
ここでは、マーティン・セイモア・スミスが選んだそれぞれの本について触れてみたいと思います。
今回は、その第二弾。
11 History – Herodotus 485-420BC
ヘロドトス著、歴史
「歴史」という概念がいまだ形をなさぬ頃、ヘロドトスを駆りたてたのは、人間の営みの総体を探究したいという思い。
この「歴史の父」は、どのような知的風土から生まれでたのか。
ペルシア戦争を主軸に各地の古史・民族誌を織り交ぜるという、輻輳した叙述をつらぬく精神とは何か。
トゥキュディデスら後世の歴史家との比較、世界の伝説・昔話との関連もふまえながら、最古の歴史書の独自の構想力と豊饒な物語世界を読み解く。
12 The Republic – Plato 427‐347BC
プラトン著、国家
「理想の国家とは」──アイロニーとパラドックスをたっぷり含ませながら対話を進めるソクラテス。
著者プラトンの真意は、「正義」そのものを問い直し、その実現に「哲学」がいかに関わるかを示すことにあった。
国家論、教育論、イデア論、男女論、魂の不死など、ありとあらゆる議論で思想史を切り拓いたこの〈挑発の書〉を俯瞰する、恰好の入門書。
13 Elements – Euclid 323-283BC
ユークリッド著、原論
『幾何学に王道なし』はユークリッドの名言として知られている。
それ以上に永久不滅なのは、命題・定理・証明という今日の数学書のスタイルを決定づけた著書『原論』。
14 The Dhammapada
ダンマパダ(法句経・原始仏典の一つ)
『法句経』の名で知られる「真理のことば」(ダンマパダ)も、併収の「感興のことば」(ウダーナヴァルガ)も、ブッダの教えを集めたもので、人間そのものへの深い反省や生活の指針が風格ある簡潔な句に表わされている。
スマナサーラ長老が説き明かす“強く、賢く生きるための仏教”。
15 Aeneid – Virgil 70-19BC
ウェルギリウス著、アエネーイス
ローマ建国を語るラテン文学最高の叙事詩『アエネーイス』。
2000年の時を経て今新たな命を宿す。
最大のラテン詩人が、英雄とローマ建国の物語を歌いながら、「歴史の運命」を示唆する壮大な叙事詩。
16 On the Nature of Things – Lucretius 94-55BC
ルクレティウス著、物の本質について
古今東西の最高の哲学詩にして古代原子論の最も系統的な叙述とされるルクレティウスの書。
宇宙‐世界‐自然、そして人間存在の根源的な意味の詩的探求。
前一世紀ローマの詩人が人類を迷妄から解放するために試みた万物の根源、世界の起源の詩的な解明。
17 Allegorical Expositions of the Holy Laws – Philo of Alexandria 20-40BC
アレクサンドリアのフィロン著、天地創造に関する比喩的解釈
イエスやパウロと同時代に生き、創世記などをギリシア哲学のカテゴリーを用いて寓意的に解釈したユダヤ教徒フィロン。
ヘブライズムとヘレニズムとの接点を知る上で不可欠の書。
18 The New Testament 100-200BC
新約聖書
人類史上最大のベストセラー聖書。
新約聖書の冒頭におかれた四福音書はイエス・キリストの言行を記録し、これを「喜ばしきおとずれ、吉報」として告げ知らせたものである。
新約聖書:キリスト降誕祭と羊飼いから。
19 Lives – Plutarch 46-120
プルタルコス著、英雄伝
ローマ帝政下を生きるギリシア人著述家が、ギリシアとローマの傑物2人1組を対比的に活写した伝記集。
アレクサンドロスの書記官エウメネスやローマ共和政末期の政治家ポンペイユスら傑物たちの事績を伝える。
20 Annals, from the Death of the Divine Augustus – Cornelius Tacitus 55-120
タキトゥス著、年代記
ローマ帝国初代の皇帝アウグストゥスの死(紀元14年)から筆をおこし、以下ティベリウス帝からネロ帝の死(68年)に至る4代55年の治世を物語る。
人間の本性に肉迫してやまぬ洞察力、類まれな描写力。―この史書をひもとく者は、あたかも一篇の秀抜な歴史小説に接するかのごとき感を深くする。
20+ Almagest – Ptolemaeus 16
プトレマイオス著、アルマゲスト
原著マテマティケ・シンタキスは2世紀に於けるギリシアの天文学者クラウディオス・プトレマイオスの著わした天文書であって、Almagestの名で一般に知られている世界の古典。
「数学的集成」とでも訳すべきこの書は、天体の運動を数学的基礎の上に組立てようという意図のもとに書かれたものであって、天文学を数学的理論の上に置くという現代天文学の基礎はここに確立されたと言っても過言ではない。
またこの書にはバビロンの天文観測を始め、ギリシアの天文学、殊に西紀前2世紀の著名な天文学者ヒッパルコスの業績を集録し、これら先人の天文学説は、この書によって伝えられることができた点で極めて貴重な資料を含んでいる。