三大奇書といわれるものをご存じ?中国の四大名著/四大奇書、日本の三大○○といえば!

「三大奇書」といわれるものをご存じでしょうか?

中国で元代から明代にかけて俗語体で書かれた3つの長編小説『三国志演義』、『水滸伝』、『西遊記』を指す呼称です。
奇書とは「世に稀なほど卓越した、面白い、優れた書物」という意味なのですが、そもそも清中期に『三国志演義』、『水滸伝』、『西遊記』、『金瓶梅』の4作品を総して「四大奇書」として方が有名です。
更に本場中国では、『金瓶梅』の代わりに『紅楼夢』を加え『三国志演義』、『水滸伝』、『西遊記』、『紅楼夢』の4作品を総して「四大名著」という方が一般的だとのこと。
いずれにしても、『三国志演義』、『水滸伝』、『西遊記』は絶対に外せない名著として位置付けられていることだけは確かです。
※)このあたりは、いずれじっくりと整理してみたいと思います。

『三国志演義』
作者は明時代の通俗小説家として名高い羅貫中です。彼は後漢末期から晋の初めまでの百年近い歴史を記したのでした。
この小説は三国時代の政治闘争や軍事紛争および様々な社会的な矛盾が行きわたっていく様子を描いています。
またその時代の歴史が大きく変わる様を書き記し、曹操、劉備、関羽、諸葛孔明などの英雄を生み出しています。

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『水滸伝』
作者は元の末期から明の初期にかけて活躍した文学者、施耐庵です。
農民の戦いを主な題材に李逵、武松、林冲、魯智深といった梁山泊の英雄を生み出し、また当時の社会問題を描き出しています。変化に富んだストーリー、生き生きした言葉づかい、しっかりした人物描写で芸術性の高い作品となっています。

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『西遊記』
明朝時代の小説家、呉承恩の作品で、唐の僧侶がお経を受け取るための旅にでるという内容の民間伝承をベースに創作されたものです。
西遊記の前半7章は孫悟空の出生と天界での騒動などが、続く部分は孫悟空が経典を受け取りに天竺へ旅する僧侶のお供をしながら、妖怪と戦い困難を乗り越えていく物語となっています。
玄奘三蔵、孫悟空、猪八戒、沙悟浄らの生き生きとした人物描写、壮大なスケールで描き切る高い構成力の作品で、中国古典小説の中のロマン主義文学作品です。

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『紅楼夢』
全120章で、18世紀中期の清朝乾隆帝の時代に書かれました。
前半の80章は曹雪芹によるもので、後半の40章は高鶚によって書かれたと思われます。
この作品は賈宝玉と林薫玉の悲劇的ラブストーリーをメインに、清時代の官僚、賈、王、史、薜の四大氏族の様子、特に賈家が没落していく様子を描いています。
この作品は、優美な言葉づかいや生き生きとした人物描写に長けており、賈宝玉、林薫玉、王熙鳳、薜宝釵、尤三姐ら登場人物が個性豊かに描き出されています。
荘厳なスケールの物語を綿密にまとめる構成力で、芸術的にも評価の高い作品です。

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『金瓶梅』
著者は蘭陵の笑笑生ということになっており、万暦年間(1573年~1620年)に成立したと考えられています。
猥書として知られ、しばしば発禁処分をうけたもので、タイトルの金瓶梅はストーリーの中心となっている三人の女性、潘金蓮、李瓶児、春梅(龐春梅)の名前から一文字ずつ取ったものです。
そもそも金瓶梅は『水滸伝』の 第二十三話から二十七話までの武松のエピソードを敷衍させたもので、いわゆる水滸伝からのスピンオフ作品です。
そのため水滸伝同様に北宋末を舞台としますが、綿密かつ巧みに描写されている富裕な商人の風俗や生活には、明代後期の爛熟した社会風俗が反映されています。

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では日本ではどうかというと、「面白い、優れた書物」というよりは、その言葉から来る「奇抜で幻惑的」というイメージで捉えられた『黒死館殺人事件』、『ドグラ・マグラ』、『虚無への供物』の3作品をして「三大奇書」(探偵小説)と言っているようです。
・夢野久作『ドグラ・マグラ』(1935年)
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・小栗虫太郎『黒死館殺人事件』(1935年)
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・中井英夫『虚無への供物』(1964年)
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では、もう少しメジャーなところで日本の三大小説・読み物は、というと、ざっと以下のようになっています。
「三大歌集」:『万葉集』、『古今和歌集』、『新古今和歌集』
「三代集」 :『万葉集』、『古今和歌集』、『後撰和歌集』:当初
       『古今和歌集』、『後撰和歌集』、『拾遺和歌集』:後代
 ※)”和歌!季節の情緒を織り込む優れた日本の伝統文化!
「三大随筆」:『枕草子』、『方丈記』、『徒然草』
 ※)”日本三大随筆・枕草子!”をかし”に表れる知性的な美世界と好奇心への誘い!
   ”日本三大随筆・方丈記!現代の心に響く無常観の感性!
   ”日本三大随筆・徒然草!もののあはれと無常観の世界に!

21世紀や昭和の日本の三大小説・読み物ってものも、ぐっと掘り下げてみたいもののですね。