先の北斎に関する整理の中で、晩年についての話題がありましたので、今回は晩年の北斎についてです。
葛飾北斎の傑作「富嶽三十六景」は、四十六景だって知ってました?
北斎は晩年、自らを「画狂老人卍」と称していました。
75歳を迎えた葛飾北斎は風景絵本『富獄百景』初編で「画狂老人卍」と言う号を用いるのですが、それ以前の錦絵での名声を放棄するかのように、晩年は肉筆画の分野に力を注いでいきます。
『唐獅子図』
真ん中の獅子が葛飾北斎の作で、周りの花を描いたのは絵師であった北斎の娘・葛飾応為。
『八方睨み鳳凰図』
畳21枚分の、長野県にある岩松院の天井に描かれた天井画。
『釈迦御一代記図会』
仏の生涯を山田意齋が書き、それに北斎が挿絵を描いたもの。
読み物のおまけ程度の扱いでしかなかった挿絵の評価を格段に引き上げた功績は大きい。
『富士越龍図』
落款は九十老人卍筆。
死の3ヶ月ほど前の作であり、これが絶筆、あるいはそれに極めて近いものと考えられている。
幾何学的山容を見せる白い霊峰・富士の麓を巡り黒雲とともに昇天する龍に自らをなぞらえて、北斎は逝った。