密教特有の尊格である明王のうち、中心的役割を担う五大明王には不動明王、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王(または烏枢沙摩明王)がいますが、今回はそんな中から西方を守護する大威徳明王に注目してみます。
※)全体的な整理を行っている”日本の仏像に魅せられて”や”自分を守ってくれる守護本尊!”、”アジアンユニット 招福七福神めぐり”も参考にしてください。
大威徳明王(梵名ヤマーンタカ)は名前を意訳して降閻魔尊ともいい、その名の通り閻魔(ヤマ)を倒す強い神という意味です。
悪風暴雨を起こして人々を害する毒蛇・悪竜を打ち倒し、怨敵を征服するとされる明王で、古くから戦勝祈願の本尊として祀られてきました。
文殊菩薩の眷属とされ、手足が六本の姿で頭には六面(六面六臂六足)と阿弥陀如来の面とを有しており、六面尊、六足明王とも言います。
阿弥陀如来の面は阿弥陀如来がこの明王の本体である事を指し六面は前六識(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚、霊感)を表し、六手は六波羅蜜業(布施、持戒、忍辱、禅定、精進、般若・智慧とも言う)を成し遂げた事を表し、六足は人々が迷う六道を清める事を表し、神通力を発揮できる事を表しています。
こうした容貌は特に異彩で、水牛に跨る姿が特徴です。