菩薩とは、梵語で「悟りを求める者」いう意味で、最高の境地である「悟り」を得るために修行中の仏、修行者、如来を目指すものです。
次期如来候補とでもいえばよいでしょうか。
菩薩像は如来像と違い、仏陀の出家前の姿、釈迦族の王子だったころの豪華な衣装、宝冠、装飾品をまとった姿をモデルにしています。
このため宝冠を冠り、きらびやかな装飾品を身につけ、王侯貴族の姿になっています。
首には瓔珞をかけ、耳環、腕環、足環など様々な装身具が用いられます。
上半身は裸に作られ、そこに天衣という細長い布を巻きつけています。
日本では、仏教の教えそのものの象徴である如来とともに、身近な現世利益・救済信仰の対象として菩薩が尊崇の対象とされてきました。
日本で広く信仰される主な菩薩としては、母性的なイメージが投影される観音菩薩、はるか未来で人々を救う弥勒菩薩、女人成仏を説く法華経に登場し女性に篤く信仰されてきた普賢菩薩、知恵を司る文殊菩薩、子供を救うとされ、道端にたたずみ最も庶民の身近にある地蔵菩薩などがあります。
また、神仏習合の一段階として、日本の神も人間と同様に罪業から逃れ自らも悟りをひらくことを望んでいるという思想が生まれます。
それに基づき、仏道に入った日本の神の号として八幡大菩薩に代表されるような菩薩号が用いられました。
さらに、高僧の称号として行基、興正などに対し、行基菩薩、興正菩薩(叡尊)といった「菩薩」の名が朝廷より下されることがあったそうです。
そんな菩薩、今回は「地蔵菩薩」です。
釈迦が入滅後、弥勒菩薩 が56億7000万年後に現われるまでの間無仏世界に現れ、この世にあって六道輪廻に苦しむ多くの人々を苦しみや悩みから救う菩薩です。
梵名は「クシティ・ガルバ」といい、一般的には「子供の守り神」として信じられています。
地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上という六道、つまり生きとして生けるものが苦しみ悩む六つの生死のくり返しの世界、六道輪廻の苦しみをやわらげ、すくいとるのが地蔵菩薩です。
髪がない剃髪で袈裟を身に着けた僧形、左手に宝珠、右手に錫杖 を持つ姿が一般的です。