五大明王・軍荼利明王!無息延命の威力・チャクラを流れるクンダリニー!

密教特有の尊格である明王のうち、中心的役割を担う五大明王には不動明王、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王(または烏枢沙摩明王)がいますが、今回はそんな中から南方を守護する軍荼利明王に注目してみます。
※)全体的な整理を行っている”日本の仏像に魅せられて”や”自分を守ってくれる守護本尊!”、”アジアンユニット 招福七福神めぐり”も参考にしてください。

軍荼利(梵語クンダリニー)はとぐろを巻く蛇、甘露(神々の飲物)の壷を意味するもので、軍荼利明王は無息延命の威力に優れた明王をされます。
クンダリニーは体内のチャクラを流れるエネルギーと解釈され、クンダリニー・ヨーガは特にインドの後期密教ではタントラやヒンドゥー教のシャクティ信仰の影響を受けたものです。
クンダリニー※)の語源は、コイル、螺旋、環、巻き毛などを意味するサンスクリット語から派生した螺旋(クンダリヌ)を有するものの女性形主格であることからも不可触民起源のクンダリー女神でしたが、中国で男性に変わり、日本では男性の姿の仏像が作られています。

※)クンダリニーは脊椎で休眠しているとされ、ヨーガで覚醒すると脊椎の尾部から頭部に向かって上昇し、これが体内で蛇が頭を持ち上げる感覚を体験することもあるため、蛇はクンダリニーの象徴として表現されます。(軍荼利明王の体に巻き付く蛇)
クンダリニーの上昇に伴い、眉間辺りに位置するアジナー・ チャクラが第三の眼になる体験をすることもあります。(軍荼利明王の顔の第三の眼)
クンダリニーの覚醒によって、甘い蜜が喉元に下りてくる味覚を体験することがありますが、ヨーガではアムルタ(甘露)と表現されます。

軍荼利明王は宝生如来が変化した姿で、一面八臂の姿で、手は2本の腕で三鈷印を結び、他の腕には武器や斧を持ち、顔は三ツ目でとぐろを巻く蛇を身に纏った姿で表されます。
これは煩悩即菩提を意味しています。
蛇には元々性的な力があるとされ、蛇を纏ったこの明王にも同じ力があると信じられ、諸事を弁じる力があり、障害を取り除く力があるとされてきました。
軍荼利明王の成立は明王の中では古いようで、不動使者とともに金剛甘露軍荼利菩薩が7世紀には仏典の陀羅尼集経に登場しています。
障害を取り除き何事も成し遂げることの可能な明王といわれ、調伏、息災、敬愛の3つの功徳があるとされます。