以前道教を理解してみるの回でも少し触れた陰陽道に関連して、今回は十二天祥星占術とも言われている六壬神課に関わる整理です。
陰陽道は、陰陽寮で教えられていた天文道、暦道といったものの一つで、古代の中国で生まれた自然哲学思想、陰陽五行説を起源として日本で独自の発展を遂げた呪術や占術の技術体系のことを指します。
つまり、一般にいわれているような思想や宗教体系を指すものではないことを、まずは覚えておきましょう。
その上で、そもそもは陰陽道に携わる者を陰陽師とよんでいたのですが、後に陰陽寮に属し六壬神課を使って占いをし、除災のために御払いをする者が陰陽師と呼ばれるようになっています。
では、ここでいう六壬神課とは何なのでしょうか。
実はこの六壬神課(単に「六壬」と呼ばれることもあります)、およそ2000年前の中国で成立した占術で時刻を元に天文と干支術を組み合わせて、なんと1440通り(720通りの課式×昼天祥か夜天祥か)もの運命を占うもので、あまりの複雑さゆえに発祥地の中国でもほとんど滅びかけた占術なんです。
六壬神課は(一般には十二天祥星占術ともいわれていますが)、その的中率の高さから「この占術を操る者は天下の命運を左右する」とまでいわれ、時の為政者によって秘匿裏のうちに利用されてきました。
実はこの六壬神課、『三国志』でも有名な参謀・諸葛孔明もこの占術の達人であったといわれており、『三国志』の中で伝えられる数多くの戦の陰には、この六壬神課の存在があったためだ、とも伝えられていますし、皆さんも良くご存知の四柱推命は、その成立段階で六壬神課を取り入れたとされているのです。
日本でも『日本書紀』の中で天武天皇が、「壬申の乱の折にこの六壬神課を(文中では「式」を立てたと書かれています)使って戦に勝利した」という記述がありますし、何といっても平安時代中期に活躍した陰陽師・安倍晴明こそが、この六壬神課を自在に操ったその人でもありました。
こうした六壬神課ですが、この占術を使うと過去・現在・未来のあなたの運命と時を知ることができるといわれています。
これほど複雑な占術ではあるのですが、1440通りもの運命を占えるということからもおわかりの通り、現在のあなたが今人生のどの段階にあり、今、そしてこれからどう行動すればよいのか、どう生きていけばよいのかを理解するには、他の占術と比べても高い確率で深く解決策を探ることができる、ともいえるでしょう。
更に六壬神課の特徴としては、
・あなたが生まれ持っている運命を占うもの>>>「命の課式」「命式」
・現在のあなたの運命を占うもの >>>「卜の課式」「卜式」
という、更に2種類の占い方があるという点です。
「命の課式」はあなた固有の運命なので一生変わることはありませんが、「卜の課式」は今この瞬間のあなたの運命なので、何度でも占うことが出来、占うタイミングで変わっていくというもの。
さあ。
あなたはどんな運命を授けられているのか?
その運命はいつ開かれていくのか?
あなたの運命の大きな流れや試練、目標。
あなた自身の性格や若年、壮年、晩年の運命。
こうした運命を知ることで、あなたがどういう行動をとれば吉となり凶となるのかが分かっていきます。
いかがですか、少しは興味を持っていただけましたか?
では、今回は最後に六壬神課で占う手順をざっと説明しておきましょう。、
・「命の課式」の場合には、あなたの年月の干支と運命数早見表から運命数を出す。
「卜の課式」の場合には、あなたの占いたい年月の干支と運命数早見表から運命数を出す。
・あなたの日の干支と運命数対応表から日干支を出す。
・あなたの年月日の干支と年支・月祥表から年支と月祥を出す。
・「命の課式」の場合には、あなたの年支と月祥を命式用局数表から局数を出す。
「卜の課式」の場合には、あなたの占いたい時間帯と月祥を願望占用局数表から局数を出す。
・併せて、命式用局数表から昼天祥か夜天祥かを出す。
・720通りの課式から、あなたの干支と局数を元に課式を探す。
※)一連の表については、次回以降に詳しくご説明しますね。
六壬神課の醍醐味は、こうして割り出された四課三伝から、自分と相手、自分と物といった二者関係においてその関係の吉凶象意、起こるであろう事態の帰趨を細かく占うことができるところにあります。
では、今回はこんなところで。
次回からはこの六壬神課を具体的に説明して参りましょう。