前回、”モースルのイスハークの冬の一夜”からの続きです。
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カイロの太守ムハンマドが上エジプトを巡視した際、ある百姓の子が白人であるのを見つけ、その理由を百姓に聞いた。
百姓は昔、エジプトの亜麻の栽培人で、取れた亜麻をシリアのアッカーで売って儲けていた。
当時アッカーはキリスト教徒の支配下で、百姓は亜麻を買いに来た美しい白人女に恋をし、白人女と一緒にいた老女に仲介を願った。
老女は50ディナールを請求し、払うと、白人女は百姓の宿に来たが、百姓は白人女がイスラム教徒でないことを気にして手を出せなかったので、白人女は怒って帰ってしまった。
翌朝分かれた後、百姓は後悔し、再度老女に今後は100ディナールで仲介を頼むが、やはり手を出せなかった。
翌朝分かれた後、やはり後悔し、再度老女に仲介を頼み、今度は500ディナールを払うことを約束するが、キリスト教徒との戦争が始まり、百姓はダマスに逃げた。
3年後、戦争は帝王サラッディーンの勝利に終わり、アッカーはイスラム教徒の支配地となった。
百姓は豪商となっていた。
ある日、百姓は帝王サラッディーンに女奴隷を100ディナールで売ったが、帝王には手元に90ディナールしかなかったので、10ディナールの代わりに好きな捕虜をもらえることになったが、見るとアッカーで分かれた白人女がいたので百姓はその女をもらった。
百姓は自分の思いを伝え、白人女も百姓が好きであることを伝え、イスラム教に改宗し、2人は結婚した。
アッカーの老女は、実は白人女の母親で、百姓が払った金は包みを閉じたままで百姓に返された。
2人は百姓の故郷のエジプトに帰り、子を作り、幸せに暮らした。
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次回は、 カリーフと教王(カリーファ)の物語です。