【東洋医学】経絡と経穴について!経絡系統を知っておきましょう!

東洋医学についての整理を進めていますが、今回からは少しずつ具体的な内容に入っていきたいと思います。
そんな今回は、経絡と経穴についてです。

※)前回までの整理については、以下も参考にしてください。
・”【東洋医学】「自然治癒力」を高める考え方 事始め!
・”【東洋医学】基礎理論・陰陽五行説にみる心身のバランスについて
・”【東洋医学】基礎理論・気・血・水(津液)という3つの要素について
・”【東洋医学】五臓六腑と臓象学について!

経絡とは、経脈という大きく重要な幹線道路と絡脈という経脈から網の目に出た枝道を合わせたものです。
経脈という幹線道路に流れるのが、「気」という、いわば生命エネルギーのようなものです。
ということで経絡とは、いわば“体内の気の通り道”と、捉えてもらえばよいですね。

「経」は「たていと」「たて」を表し、そこから「おおすじ」「不変の道理」などの意味が、「絡」は「まとう」「からむ」「つなぐ」「つながる」などの意味がありますが、その言葉通り経脈は体内を縦方向に走っており、絡脈は体内を横方向に走って経脈同士を繋ぐ役割を担っています。
経絡は主に14本あり、それぞれ肝、心、肺など内臓と密接に関係しているとされています。

例えば、先に水の効用を整理しました(※)が、水を司っているのが『腎』で、腎と関連するのが膀胱の経絡です。
しかも経絡上にはたくさんの経穴(ツボ)があるので、それらをマッサージでピンポイントに刺激する経絡押しなどを行うことで、むくみや血行不良などを解消させる効果があるというものです。
経絡が幹線道路で、ツボは信号のようなもの、と考えてもらえばよいでしょうか。
信号が壊れると道路が渋滞してしまうので、常日頃からきちんと交通整理して、幹線道路の通りをすっきりさせておくことが必要という訳です。
※)水の効用については、”水への正しい知識を!健康のためにも、改めて水の大切さを見直してみませんか!”も参考にしてみてください。

そんな絡脈は、その道路の大きさによって「十五絡」(末端で正経の表裏関係を強める)、「浮絡」(体表に浮いて見える分枝)、「孫絡」(絡脈よりさらに細かい分枝)があり、経脈は「正経十二経脈」と「奇経八脈」の二つに大きく分かれます。

【正経十二経脈】

正経十二経脈とは五臓と六腑、心包のそれぞれに繋がる12種類(手太陰肺経、手陽明大腸経、足陽明胃経、足太陰脾経、手少陰心経、手太陽小腸経、足太陽膀胱経、足少陰腎経、手厥陰心包経、手少陽三焦経、足少陽胆経、足厥陰肝経)の経脈で、各臓腑に気や血を行き渡らせる働きがあります。。
それぞれの経絡の名前についている手・足はその経絡が手を通るか足を通るかを表し、陽明・太陽・少陽、太陰・少陰・厥陰の3陰3陽はそれぞれ陰陽の量を表し、名前についている臓腑は経脈がその臓腑と関係が深いことを表します。
(ちなみに陽の多い順から陽明>太陽>少陽、陰の多い順から太陰>少陰>厥陰です)
この十二正経脈には付帯する流れがあり、十二経別(十二経脈から身体の深部に別行する流れ)、十二経筋(十二経脈の流れと一連のつながりを持った筋肉群)、十二皮部(十二経脈の流れとつながりを持った皮膚)というのがあります。

【奇経八脈】

奇経八脈は、正経十二経脈以外の経脈のことで、督脈、任脈、衝脈、陽キョウ脈、陰キョウ脈、陽維脈、陰維脈、帯脈の8種類を示すものです。
奇経は開かれていない経脈とでも言い表せばよいでしょうか。
臓腑とは繋がっておらず、正経十二経脈を繋いで調整したり協調させたりするように張り巡らされています。
そのため、経絡から溢れた気を蓄えたり、足りない時は補う謂わばダムとしての働き、気や血のバランスを調整する役割を持っているのです。

奇経八脈の中で特に重要なのは、督脈と任脈です。

督脈は「諸陽の海」とも呼ばれ、体の背面中央を下から上へと走る奇経で6本の陽経と交わっており、全身の陽経を統括して陽の気の調整をし、脳や脊髄、腎などの働きを連携させています。
任脈は「諸陰の海」とも呼ばれ、体の全面中央を下から上へと走る奇経で3本の足陰経と交わっており、全身の陰経を統括して陰の気の調整をし、月経を調整しているといわれています。

                            ┏手陽明大腸経
                       ┏手三陽経┫手少陽三焦経
         ┏ 十二正経 ┳ 十二経脈   ┫    ┗手太陽小腸経
     ┏ 経脈 ┫     ┃(経脈の本幹)┃    ┏手太陰肺経
     ┃   ┃     ┃       ┃手三陰経┫手少陰心経
     ┃   ┃     ┃       ┃    ┗手厥陰心包経
 ┏ 経絡 ┫   ┃     ┃       ┃    ┏足陽明胃経
 ┃   ┃   ┃     ┃       ┃足三陽経┫足少陽胆経
 ┃   ┃   ┃     ┃       ┃    ┗足太陽膀胱経
 ┃   ┃   ┃     ┃       ┃    ┏足太陰脾経
 ┃   ┃   ┃     ┃       ┗足三陰経┫足厥陰肝経
 ┃   ┃   ┃     ┃            ┗足少陰腎経
経┃   ┃   ┃     ┗ 十二経別(六合):「別行の正経」
絡┃   ┃   ┃
系┃   ┃   ┃     ┏任脈
統┃   ┃   ┃     ┃督脈
 ┃   ┃   ┗ 奇経八脈 ┫衝脈
 ┃   ┃         ┃帯脈
 ┃   ┃         ┃陰維脈・陽維脈
 ┃   ┃         ┗陰蹻脈・陽蹻脈
 ┃   ┃          ┏十五絡(末端で正経の表裏関係を強める)
 ┃   ┗絡脈       ┫孫絡 (絡脈よりさらに細かい分枝)
 ┃    (経脈の分枝)  ┗浮絡 (体表に浮いて見える分枝)
 ┃
 ┃    ┏ 内部 ━五臓六腑(属絡を作る)
 ┗ 連続部 ┻ 外部 ┳十二経筋
          ┗十二皮部(六経皮部)

【経穴】

経穴とは、いわゆる「ツボ」の一種で、身体の内側と外側を通過するエネルギーが通る道と考えられている経絡の中継地点であり、エネルギーが注がれる場所であるとされています。
経絡は臓腑と繋がっていますので、経穴は臓腑と体表面とを結ぶ点ともいえますし、臓腑から対外に通じる出入り口ともいえます。
そのため経穴は、身体内外のどこかに異常があるときに反応することから、異常がある部位の診断にも利用できるし、病変自体の治療にも利用できるという特徴があります。

WHOの定義では全身のツボの数は361個あるとされており、
・筋と筋の間筋と腱の間
・筋と骨の間
・関節のふくらんでいる部分
などに多く存在するとされています。

次回では、これら経穴の種類や、正経十二経脈の詳細な分類について、整理してみたいと思います。

4816355405481635086147916179674480421343481635719X49040226024058003995426212343X4816348417410600495X4405106835