141年前の今日(12月3日)!旧暦から新暦への改暦に思うこと。

141年前の今日(12月3日)、それまで旧暦(太陰太陽暦)であった暦を新暦(西暦・太陽暦)へと変更し、明治6年(1873年)1月1日が始まりました。
これにより、明治5年は12月3日から12月30日までの28日間が存在しない状態となっています。
実はこの変更、布告から実施まで1か月足らずという突然の改暦なのをご存じでしょうか。

これほど急な新暦導入には、当時の政府の財政状況が逼迫していたことによるものといわれています。
旧暦のままでは明治6年は閏月があるため13か月となるため、新暦を導入して閏月を無くすことで11か月分しか給料を支給せずに済ますことができる効果があった訳です。
当然、明治維新を経て海外との交流が活発になり、欧米人と交渉をする場合などを鑑みても暦の違いは何かと不便をもたらすことだったでしょうから、世界基準に合わせて暦も追従するという意図もあったのだと思われます。

当時改暦を強く支持した福澤諭吉は『改暦辨』というベストセラーを出しますが、その中でこのように述べています。
「日本国中の人々、この改暦を怪しむ人は、まちがいなく無学文盲の馬鹿者である。
 これを怪しまない者は、まちがいなく日頃から学問の心がけのある知者である。
 よってこのたびの一件は、日本国中の知者と馬鹿者とを区別する吟味の問題といってもよろしい。」
無学文盲とまで言い放った福澤の真意は、旧暦における迷信と俗信に満ちあふれた暦注を指し、それを捨て去ることで改暦を成功させたいという思いがあったからでしょう。

しかも、今日(12月3日)などはまさに小雪から大雪へと移り変わろうとする24節気の季節の中なのですが、季節感も月や潮の満ち欠け・満ち干も関係のない新暦中心の現代の日本人の生活は、今後も変わりなく続いていくことでしょう。
しかし旧暦の考え方には、自然と共生する日本人の知恵が積み上げられている訳で、これを全て切り捨てても良い、という論法は聊か乱暴とも思えます。
出来ればこれまで営々と営まれてきた英知は忘れることなく、これからの21世紀を生きていきたいものです。