軍師黒田官兵衛に見る、理想の幹部像!

今日は、黒田官兵衛の生誕日(天文15年11月29日、1546年12月22日)ということもあり、軍師、軍略という観点から、ビジネスの在り方をちょっとだけ触れてみます。

まず、軍師として著名な人物といえば、日本では、今年一躍有名となった黒田孝高(通称官兵衛)、竹中重治(通称半兵衛)、山本勘助、宇佐美定満、直江兼続あたりですね。
史記、三国志、水滸伝、元朝秘史、集史、明史の中で生き生きと描かれている呂尚(太公望)、張良、陳平、范増、荀彧、諸葛亮(諸葛孔明)、耶律楚材、劉秉忠、劉基などは、まさに軍師たる理想ですが、他にも数えればキリがありません。
※)史記、三国志、元朝秘史あたりは、今後じっくりと整理していきたいと思います。

一般に軍師とは、軍を指揮する君主や将軍の戦略指揮を助ける職務を務める人のことを指しますが、役割としてはそれだけに留まらず、政治・軍事の枠を超えて戦略面のほとんどの分野に関わり、軍政両面に権限や実行力を持った人物を表す方が正しいかと思います。

我々の仕事でいえば、役職として計画を立てたり指示するだけの形骸化した管理職的役割では務まらないということです。
・皆が仕事をし易くするために周囲の環境を整備し、
・一緒に仕事をするひとりひとりに細かい心配りをし、精神面でもサポートを怠らず、
・場合によっては、仕事の最前線で実務もこなすことで皆の手本となり、
・そうした積極的な仕事に向かう姿を見せることで、部下のやる気を鼓舞し、
・そんな中でも、誰よりも先を見通して必要な判断を行い、
・問題事象が発生すれば、その方策・打開策を徹底的に練り、
・結果、すべての責任は自らがしっかり負う
まさに、管理専従してその枠から出ない形だけの役割ではなく、孤軍奮闘、八面六臂の思考と行動を行い尽力する人物がまさにそれでしょう。

ま、ここまですべてが出来ていないとしても、実際にその姿勢、在り方がふさわしいものかどうかは、仕事を共に行っている人達であれば、よーくわかっていることだとは思いますが。。。。。

そんな軍師たる大事な所作をひとつ。

例えば、業績の苦しい会社に社長や役員がいて、その下に複数の幹部がいるとします。
この幹部は、いわば会社の命運を握る軍師そのものですね。
振るわない業績の問題打破をするため、緊急で会社方針を大きく見直す実行プランを立てることとなりました。
ある優秀な幹部Aが立てた実行プランは非常に優れた内容で、それは役員会にかけられます。
一方、もうひとり太鼓持ち的な動きで役職を上がってきた幹部Bがいます。
この幹部Bの立てた実行プランは大した内容でもないのですが、それも役員会にかけられます。
この場合、社長を役員はいずれかの実行プランを採用し、即会社方針の見直しを行う判断をしなければばなりません。
仮にこの社長なり役員なりが神のごとく賢明で、将来性をきちんと見据えた内容を吟味・判断できるレベルであれば、間違いなく優れた実行プランを採用されるので、なんの問題もないでしょう。
しかし、この社長なり役員なりが凡庸であるかそれ以下である場合、正しい判断ができないので、結局はその実行プランを立てた幹部の進言や説明次第になる訳です。
仮に、幹部Aの実行プランが非の打ちどころがないほどすぐれたものでも、その説明が覚束なかったり幹部への進言が言葉足らずで説得力に欠けていたならば、このプランは用いられることはないでしょう。
ところが、幹部Bの実行プランそのものはとても会社の将来を明るくできる程の内容でなかったとしても、その説明の仕方がわかりやすかったり、聞く側のレベルに合わせて適切な進言であったりした場合、このプランはおそらく採用されることになります。
きっとこの会社は、その後潰れるか。大きな問題をかかえる事態に陥る訳ですが、こうした例は特別な訳でもなく、きっとあなたの周りにも多く存在しているのではないでしょうか?

よいプランを進言したにも関わらず、それを採用しなかった社長や役員が愚かだ、といえば元も子もありません。
しかしその進言も、そもそものプラン以上に的を得た適切な内容でならねばならなかったことは確かなことです。
つまり、その責任は社長や役員だけでなく、こうしたことを当然のごとく負っている幹部としての責務であるという訳です。
軍師の軍師たる役目は、軍略を立てるだけでなく、立てた軍略の内容に価値があることを周囲にきちんと認めさせることが大事な所作であり、そこまでができて初めて優秀な軍師足り得るのです。

古典における軍師像は、後世に語り継がれる中で脚色され、確かにイメージが創作され過ぎた部分も大きいですが、それでも人々を魅了し続けるのは、常にあってほしい理想の人物像がそこにあるからに他なりません。

このところ、当ブログにて軍略、兵法、帝王学などに絡んだ古典をひとつひとつ整理している最中ですが、そんな中のひとつふたつなりとも手に取って頂き、自らの血肉にして頂ければ幸いです。

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