【千夜一夜物語】(71) ジャスミン王子とアーモンド姫の優しい物語(第998夜 – 第1001夜)

前回、”ジャアファルとバルマク家の最後”からの続きです。

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ある老齢の王に七人の子がおり、七番目のジャスミン王子はなかでも最も美しかった。
あるとき愛の使者だという修道僧がジャスミンのもとにやってきて、となりの国の美しいアーモンド姫が、なにかに焦がれて悲しみに暮れているという話をして立ち去る。
それを聞き、アーモンド姫への恋がめばえたジャスミンは、やもたてもたまらず、そのまま出奔してしまった。

一方、アーモンド姫の悲しみとは、夢に見た美しい若者への恋によるものであった。
侍女たちは気鬱に悩む姫に気晴らしをさせようと外に連れ出すが、そのうちの一人が、数日前からジャスミンという美しい笛吹きの若者が城下に来ているという話をする。
侍女の話によれば、その姿は夢に見た若者とそっくりである。
また、遠いところからこの地までやってきた理由とは愛に他ならないだろうと諭すと、姫は悲しみなどふっとばし、恋文を書きはじめた。

なんどか文を交わしたのち、相手がお互いの求めている人物だと知ったジャスミンとアーモンドは、たちまち恋仲になった。
アーモンドは父王に頼み、ジャスミンを家畜の監視係に採用させ、密会を楽しむようになる。

だがやがて、このことが父王に知れることになる。
王は怒り、ジャスミンを成敗するよう姫の兄弟たちに命ずる。
ちょうどそのとき、ジャスミンは国の者どもが恐れる豚鹿の住む森にいた。
家畜を狙って襲ってきた豚鹿を、笛を取り出してその音であやつり、誘導して檻の中に捕らえたジャスミンは、その功績によって罪を問われることをまぬがれた。

なおも兄弟はふたりの恋を妨害しようと、アーモンドを彼女の従兄弟と結婚させることにする。
婚礼の席に潜んでいたジャスミンが姫に目くばせすると、アーモンドは隙をみてぬけだし、手に手をとって駆け落ちしてしまった。

以後、ふたりの姿を見たものはいなかった。

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次回は、大団円です。

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