日本の絵画形式の1つである絵巻物は、横長の紙や絹を繋いで長大な画面を作り、情景や物語などを連続して表現したもので、日本最初の絵巻物といわれているものは、奈良時代に制作された”絵因果経”となっています。
その後平安時代にはかの有名な”枕草子””伊勢物語””源氏物語””宇治拾遺物語”などが次々と生み出され、これらが現存するおかげで当時の活き活きとした時代や文化様式を私達は伺い知ることが出来ます。
そんな代表的な日本の四大絵巻物といえば、”源氏物語絵巻””信貴山縁起””伴大納言絵巻””鳥獣人物戯画”となりますが、その中でも特に注目の絵巻が話題になりそうです。
擬人化された動物や人物を自由奔放な筆遣いで描いた所謂マンガのルーツとも呼ばれる国宝絵巻物が、修復を終えて本日から京都国立博物館で展覧されます。
京都国立博物館自体が今回リニューアルオープンということで、まさにそのオープニングにふさわしい展覧会です。
”鳥獣人物戯画”もしくは”鳥獣戯画”とも呼ばれるこの紙本墨画絵巻は甲・乙・丙・丁全4巻からなり、まさに世相風刺を代表するクールジャパン作品といっても過言ではないでしょう。
平安から鎌倉時代にかけて描かれたものということですが、作者もその背景もはっきりせず不明なことだらけ。
有名な絵としてはウサギ・カエル・サルなどが擬人化して描かれた甲巻になりますが、他の3巻も負けず劣らず現代でも斬新かつ独創的です。
一度ゆっくりと鑑賞してみたいものですね。
【甲巻】
遊びに興じる様々な動物達が見事に擬人化されているだけでなく洒落っ気たっぷりで、今のマンガで当然のように用いられている見えないものの描画(例えば、息の空気感が線描画されている)が既に現れているなど、見る箇所満載です。
【乙巻】
実在の動物だけでなく当時日本では見ることのできなかった動物や架空の動物などが入り乱れている上に、その生態までが見事に表現されているまさにアニマルオンパレードの絵巻です。
【丙巻】
内容自体は甲巻の影響を受けているようだが、元々一枚の紙の裏表に描かれていた人物と動物それぞれの絵を、江戸時代になって裏表で別々に剥いで繋ぎ合わせたといわれている絵巻です。
【丁巻】
甲巻に描かれている擬人化した動物がそのまま人物として描かれているもので、さまざまな人物スケッチが表現された他の巻との筆致の違いが際立つ絵巻です。
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