【千夜一夜物語】(38) 陽気で無作法な連中の座談集(第616夜 – 第622夜)

前回、”ハサン・アル・バスリの冒険”からの続きです。

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【歴史的な放屁】

昔、ヤマーン(イエメン)のカウカバーンの町にファズリ族のベドウィン人でアブール・ホセインという男がいた。
アブール・ホセインは、再婚の結婚式で大きな屁をしてしまい、恥ずかしさのあまり逃げ出し、インド行きの船に乗りマラバールまで行き、そこで一人で生活していた。
10年経って故郷が恋しくなり、カウカバーンに戻ってみると、ある子どもが「私はあのアブール・ホセインが屁をした年に生まれた」と言っていて、屁のことが忘れられていないことを知り、絶望して故郷を再び後にした。

【二人の悪戯者】

昔、ダマスの悪戯者が、カイロの悪戯者の噂を聞き、どちらが上手か、カイロまで見に行った。
2人は意気投合し、カイロの悪戯者はカイロの町の名所を案内して歩き、ある回教寺院まで来たら、厠で用を足している人が見えた。
どのような悪戯をするかという話になり、ダマスの悪戯者は「箒で尻を突っつく」と言ったところ、カイロの悪戯者は「花束を渡す」と言ったので、カイロの悪戯者の方が優れているということになった。

【女の策略】

昔、ある人妻がいたが、夫が不在がちだったため若い男を愛人にしていたところ、その若い男は両刀使いの老人から言い寄られたため、老人を殴り、捕まり牢屋に入れられた。
人妻は若者を助けるため奉行にお願いしたが、体を求められたため、夕方家に来るよう奉行に言った。
次に法官(カーディー)に若者の釈放をお願いしたが、体を求められたため、夕方家に来るよう法官に言った。
次に大臣に若者の釈放をお願いしたが、体を求められたため、夕方家に来るよう大臣に言った。
次に王様に若者の釈放をお願いしたが、体を求められたため、夕方家に来るよう王様に言った。
人妻は家具屋に、引き出しが5段ある箪笥を注文したが、家具屋が代金の代わりに体を求めたため、夕方家に来るように言った。

夕方、まず奉行が家に来たが、事に及ぼうとしたとき法官が来たので奉行は箪笥の一番下の引き出しに隠れ、法官が事に及ぼうとしたとき大臣が来たので、法官は2番目の引き出しに隠れ、大臣が事に及ぼうとしたとき王様が来たので、大臣は3番目の引き出しに隠れ、王様が事に及ぼうとしたとき家具屋が来たので、王様は4番目の引き出しに隠れ、家具屋が事に及ぼうとしたとき釈放された若者が来たので、家具屋は5番目の引き出しに隠れた。
人妻は引き出しに鍵を掛け、家財をまとめて若者と駆け落ちの旅に出てしまった。
人妻の体を求めた5人は箪笥の中に閉じ込められたままで、2日後、人妻の夫が帰って来てやっと助け出された。

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次回は、 眼を覚ました永眠の男の物語です。

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