【千夜一夜物語】(10) 美しきシャムスエンナハールとアリ・ベン・ベッカルの物語(第152夜 – 第169夜)

前回、”鳥獣佳話”からの続きです。

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ある日、バグダードのアバールハサン・ベン・ターヘルという商人の店に、シャムスエンナハールという教王(カリーファ)ハールーン・アル・ラシード)の美しい側室が来て、ペルシャ王の末裔でアバールハサンの親友の美しい王子アリ・ベン・ベッカルと出会ってしまい、2人は互いに一目惚れしてしまった。
アバールハサンとアリ・ベン・ベッカルはシャムスエンナハールの女奴隷の手引きで宮殿に忍び込み、アリ・ベン・ベッカルはシャムスエンナハールと再会を果たした。
そこに教王が来たので、アバールハサンとアリ・ベン・ベッカルは見つからぬよう逃げ出した。

アリ・ベン・ベッカルとシャムスエンナハールは、会えない恋のつらさから病気になった。
アバールハサンは教王の怒りを買うことを恐れ、全財産を換金し、後事をアミンという友人に託しバスラに逃げた。
アミンとシャムスエンナハールの女奴隷は連絡を取り、アミンの別邸でアリ・ベン・ベッカルとシャムスエンナハールを再会させる計画を立て、シャムスエンナハールは成功すればアミンに女奴隷を与えることを約束した。

計画は成功し、アリ・ベン・ベッカルとシャムスエンナハールはアミンの別邸で再会した。
しかしその夜強盗が入り、別邸の財宝と2人をさらって行った。
翌朝、アミンの所に盗賊の男が来てアミンを盗賊の隠れ家に案内し、2人が何者かを聞き、シャムスエンナハールが教王の側室と知ると、2人を解放した。
しかし、そこに警吏隊が来てシャムスエンナハールを宮殿に連れ帰った。

2人は会えない恋のつらさから病気がますます重くなった。
アミンのところに女奴隷から、教王が気付いたのですぐ逃げるようにとの連絡が入り、アミンは病気のアリ・ベン・ベッカルとともに町を逃げ出すが、野盗に襲われ、全財産を奪われた。
アリ・ベン・ベッカルは失意のうちに死んだ。
シャムスエンナハールも病が重くなり死んだ。
アミンと女奴隷はアリ・ベン・ベッカルとシャムスエンナハールの墓を隣同士にし、埋葬した。

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次回は、カマラルザマーンとあらゆる月のうち最もうるわしい月ブドゥール姫との物語です。

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