アリスの盛大な誕生日パーティーを前に!

『不思議の国のアリス』(Alice’s Adventures in Wonderland)が出版・刊行された1865年から、今年・2015年で150周年という節目の年を迎えます。

原作者はイギリス人ルイス・キャロル。
幼い少女アリスが白ウサギを追いかけて不思議の国に迷い込み、さまざまなキャラクターたちと出会いながら冒険する児童書です。
元々は、キャロルが知人の少女アリス・リデルのために即興でつくって聞かせた物語ですが、それが今や約100の言語に翻訳されて世界中で読まれている、稀有な物語です。
どうしてこれ程までに親しまれているのかというと、多数のナンセンスな言葉遊びに加えて、奇妙奇天烈なキャラクターだらけの世界観が子供達を永遠に捉えて離さないからでしょう。

今年は各国でルイス・キャロルやアリスの記念イベントが企画されており、この流れは多くのファンを持つ日本でもそのまま引き継がれそうです。
数々の書籍や関連本が発売され、数々のイベントや催し物が行われ、今年終盤のハロウインではアリスや登場キャラクターのコスプレが例年以上に目立つことになるのかな?

児童文学もこのところ勢いがないので、景気付けのよいきっかけになるといいですね。

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参考までに、『不思議の国のアリス』のあらすじは、ざっとこんなものです。

あらすじ ここから~

第1章 ウサギ穴に落ちて
ある日、アリスが川辺の土手で、読書中の姉の傍に退屈を感じながら座っていると、そこに服を着た白ウサギが人の言葉を喋りながら通りかかる。驚いたアリスは白ウサギを追いかけてウサギ穴に落ち、壁の棚に様々なものが置いてあるその穴を長い時間かけて落下する。着いた場所は広間になっており、アリスはそこで金の鍵と、通り抜けることができないほどの小さな扉を見つける。その傍には不思議な小瓶があり、それを飲んだアリスはみるみる小さくなるが、鍵をテーブルに置き忘れて取れなくなってしまう。

第2章 涙の池
アリスは今度は不思議なケーキを見つけるが、それを食べると今度は身体が大きくなりすぎてしまう。アリスは困って泣き出し、その大量の涙であたりに池ができる。アリスは白ウサギが落としていった扇子の効果で再び小さくなるが、足をすべらせて自分のつくった池にはまり込む。そこにネズミをはじめとして様々な鳥獣たちが泳いで集まってくる。

第3章 コーカス・レースと長い尾話
アリスと鳥獣たちは岸辺に上がり、体を乾かすために「コーカス・レース」[注釈 6]という、円を描いてぐるぐるまわる競走を行う。それからアリスはネズミにせがんで、なぜ彼が犬や猫を怖がるのかを話してもらう。この話に対してアリスは飼い猫のダイナの自慢話をはじめてしまい、この猫がネズミも鳥も食べると聞いた動物たちは逃げ去ってしまう。

第4章 白ウサギ、トカゲのビルを送り込む
一人になったアリスのもとに白ウサギが戻ってきて、アリスをメイドと勘違いして自分の家に使いに行かせる。家の中でアリスは小瓶を見つけて飲んでしまい、この効果で再び身体が大きくなり部屋の中に詰まってしまう。白ウサギは「トカゲのビル」を使ってアリスを追い出そうとするが失敗に終わる。その後白ウサギたちは家のなかに小石を投げ入れ、この小石が体を小さくさせるケーキに変わったため、アリスは再び小さくなって家から出られるようになる。

第5章 イモムシの助言
動物たちや大きな子犬から逃れて森に入ったアリスは、キノコの上で大きなイモムシに出会う。ぞんざいな態度でアリスにあれこれ問いただしたイモムシは、キノコの一方をかじれば大きく、反対側をかじれば小さくなれると教えて去る。アリスはキノコを少しずつかじり調節しながら元の大きさにもどるが、次に小さな家を見つけ、そこに入るために小さくなるほうのキノコをかじる。

第6章 豚とコショウ
その家は公爵夫人の家であり、家の前ではサカナとカエルの従僕がしゃちほこばった態度で招待状のやり取りを行っている。家の中には赤ん坊を抱いた無愛想な公爵夫人、やたらとコショウを使う料理人、それにチェシャ猫がおり、料理人は料理の合間に手当たり次第に赤ん坊にものを投げつける。アリスは公爵夫人から赤ん坊を渡されるが、家の外に出るとそれは豚になって森に逃げていく。アリスが森を歩いていくと樹上にチェシャ猫が出現し、アリスに三月ウサギと帽子屋の家へ行く道を教えたあと、「笑わない猫」ならぬ「猫のない笑い」 (a grin without a cat) を残して消える。

第7章 キ印のお茶会
三月ウサギの家の前に来ると、そこでは三月ウサギ、帽子屋、ネムリネズミがテーブルを出して、終わることのないお茶会を開いている。帽子屋は同席したアリスに答えのないなぞなぞ[注釈 7]をふっかけたり、女王から死刑宣告を受けて以来時間が止まってしまったといった話をするが、好き勝手に振舞う彼らに我慢がならなくなったアリスは席を立つ。すると近くにドアのついた木が見つかり、入ってみるとアリスが最初にやってきた広間に出る。そこでアリスはキノコで背を調節し、金の鍵を使って今度こそ小さな扉を通ることができる。

第8章 女王陛下のクロッケー場
通り抜けた先は美しい庭で、そこでは手足の生えたトランプが庭木の手入れをしている。そこにハートの王と女王たちが兵隊や賓客をともなって現われる。かんしゃくもちの女王は庭師たちに死刑宣告をした後、アリスにクロッケー大会に参加するよう促すが、そのクロッケー大会は槌の代わりにフラミンゴ、ボールの代わりにハリネズミ、ゲートの代わりに生きたトランプを使っているので、すぐに大混乱に陥る。そこにチェシャ猫が空中に頭だけ出して出現し、女王たちを翻弄するが、女王が飼い主の公爵夫人を連れてこさせるころにはチェシャ猫はふたたび姿を消している。

第9章 代用ウミガメの話
やってきた公爵夫人はなぜか上機嫌で、アリスが何かを言うたびに教訓を見つけ出して教える。女王は公爵夫人を立ち去らせ、クロッケーを続けようとするが、参加者につぎつぎと死刑宣告をしてまわるので参加者がいなくなってしまう。女王はアリスに代用ウミガメの話を聞いてくるように命令し、グリフォンに案内をさせる。アリスは代用ウミガメの身の上話として、彼が本物のウミガメだったころに通っていた学校の教練について聞かされる(この教練はキャロルの言葉遊びによってでたらめな内容になっている。例えば読み方 (Reading) ではなく這い方 (Reeling)、絵画 (Drawing)ではなくだらけ方(Drawling) などである)。

第10章 ロブスターのカドリール
しかしグリフォンが口をはさんだので、今度は遊びの話をすることになる。代用ウミガメとグリフォンはアリスに「ロブスターのカドリール」のやり方を説明し、節をつけて実演してみせる。そのうちに裁判の始まりを告げる呼び声が聞こえてきたので、グリフォンは唄を歌っている代用ウミガメを放っておいて、アリスを裁判の場へ連れてゆく。

第11章 誰がタルトを盗んだ?
玉座の前で行われている裁判では、ハートのジャックが女王のタルトを盗んだ疑いで起訴されており、布告役の白ウサギが裁判官役の王たちの前でその罪状を読み上げる。アリスは陪審員の動物たちに混じって裁判を見物するが、その間に自分の身体が勝手に大きくなりはじめていることを感じる。裁判では証人として帽子屋、公爵夫人の料理人が呼び出され、続いて3人目の証人としてアリスの名が呼ばれる。

第12章 アリスの証言
アリスは何も知らないと証言するが、王たちは新たな証拠として提出された詩を検証して、それをジャックの有罪の証拠としてこじつける。アリスは裁判の馬鹿げたやり方を非難しはじめ、ついに「あんたたちなんか、ただのトランプのくせに!」と叫ぶ。するとトランプたちはいっせいに舞い上がってアリスに飛び掛り、アリスが驚いて悲鳴をあげると、次の瞬間に自分が姉の膝をまくらにして土手の上に寝ていることに気がつく。自分が夢をみていたことに気づいたアリスは、姉に自分の冒険を語って聞かせたあとで走り去ってゆく。一人残った姉はアリスの将来に思いを馳せる。
あらすじ ここまで~

こうしてみると、あれ、ハンプティ・ダンプティやトゥイードルダムとトゥイードルディーは?と思ってしまったのですが、よくよく調べてみるとその話は続編の『鏡の国のアリス』の方でした。
子供の頃読んだ童話も、大人になって読み返してみると意外な思い違いや新たな発見があって、別の楽しみもできるものです。

『鏡の国のアリス』のあらすじは、ざっとこんなものです。

あらすじ ここから~
第1章 鏡の向こうの家
ガイ・フォークスの日の前日、暖炉の前で糸を繰っていたアリスは、毛糸玉を解いてしまった子猫のキティをしかり、そのまま子猫を相手に空想ごっこを始める。その延長で鏡の中の世界を空想しているうちに、アリスは実際に鏡を通り抜けて鏡の世界に入り込んでしまう。鏡の中の暖炉の前では、チェスの駒が意思を持って動き回っているが、はじめ彼らにはアリスの姿が見えず、アリスは彼らを持ち上げたりして驚かせる。アリスは鏡文字で書かれた本の中の詩(ジャバウォックの詩)を鏡に映すことによって読みとったあと、戸外に出かけてゆく。

第2章 生きた花園
アリスは丘に上ろうとするが、道がアリスの意思に逆らって何度もアリスを家の前に戻してしまう。そのうちにアリスは喋る花々が植えられた花壇に行き当たり、オニユリやバラなどと言葉を交わす。そこにアリスくらいの背丈になった赤の女王が通りかかり、アリスはあえて逆方向に進むことによって女王に追いつく。丘に着いたアリスは小川と垣根でチェス盤のように区切られた景色を眺めてこの世界全体がチェスゲームになっていることを知り、赤の女王の助言で自分も駒として参加することを決める。

第3章 鏡の国の虫たち
白の歩(ポーン)となったアリスは、最初の一手で2マス進むために自分でも知らないうちに列車に乗りこみ、紙を着た紳士、ヤギ、カブトムシ、ひっきりなしに駄洒落を言う声(姿は見えないが、後で巨大な蚊とわかる)と相席する。やはり知らないうちに再び列車の外に出たアリスは、巨大な蚊と二人きりになり、彼から様々な鏡の国の虫を紹介される。その後一人になったアリスは、そこに入ると物の名前がわからなくなる「名無しの森」に入り、そこで仔鹿と道連れになるが、森を出た途端にアリスが「人間」であることを思い出した仔鹿は逃げていってしまう。

第4章 トゥイードルダムとトゥイードルディー
再び一人になったアリスは、次の章でマザー・グースのキャラクターであるトゥイードルダムとトゥイードルディーに出会う。彼らはアリスに眠り込んでいる赤の王を見せ、アリスは王の夢の中の人物に過ぎないのだと教えたあと、唄の通りに壊れたがらがらをめぐって決闘の準備をはじめ、やはり唄のとおりに、飛来してきた巨大な鴉を恐れて逃げていってしまう。

第5章 毛糸と水
そこに、大鴉のはばたきによって女王のショールが飛ばされてくる。アリスはやってきた白の女王の身だしなみを整えてやり、彼女から、自分は時間を逆方向に生きていて未来のことを記憶しているのだといった不条理な話を聞かされる。しかし二人がいっしょに小川を越えると、不意に女王はヒツジに姿を変え、あたりは雑貨店の店内になる。その不思議な店では、アリスが棚にあるものを見ようとすると決まってそこだけ空っぽになる。アリスはいつの間にかヒツジを乗せてボートを漕いでいる自分に気づき、ヒツジに言われるままにボートを漕いだり、花を摘んだりしたあと、再び知らないうちにもとの店内にもどる。アリスは卵を買うことにし、逃げていく卵を追って知らないうちに戸外に出る。

第6章 ハンプティ・ダンプティ
その卵は塀の上に座り、マザー・グースのキャラクターであるハンプティ・ダンプティに変わる。彼は尊大な態度でアリスに自慢話をし、自分は言葉に好きな意味をこめて使うことができるのだといったことを語る。アリスは「ジャバウォックの詩」を彼に解説してもらうが、彼のもとを去ると、その背後で大きな落下音が起こる。

第7章 ライオンとユニコーン
落下音が起こった途端、森の奥から白の王の大軍勢が現われる。アリスと白の王は、使者の一人(ヘイヤ)からの知らせを受けてもう一人の使者(ハッタ)が待つ町に向かい、そこで王冠をめぐって争っているライオンとユニコーンを見物する。ライオンとユニコーンはマザー・グースの唄の通りに町中を追いかけまわったあとプラムケーキを注文し、アリスがそれを切る役目を言い渡されるが、あたりに大きな太鼓の音が響き始め、アリスはその音から逃れて次の桝目に出る。

第8章 拙者の発明にござる
音がやむとアリスのもとに赤の騎士と白の騎士がやってきて、アリスをめぐって決闘をはじめる。勝利した白の騎士はアリスを次の桝目まで送り届けようと申し出、上下逆さの小箱や円錐形の兜といった自身の様々な珍奇な発明を披露しながら森のはずれに案内し、そこで長い歌を贈ってアリスと別れる。

第9章 アリス女王
次の桝に入ったアリスは、自分の頭に王冠が載っていることに気づき、自分が女王になれたことを知る。するといつの間にか自分の両側に赤の女王と白の女王が座っており、二人は女王の資格を問うために、「犬から骨を引くと答えは何か」といった不条理な質問を続けざまにアリスに行う。二人が疲れて眠ると不意にアーチが現われ、アリスがそれをくぐるとアリスのためのディナーパーティがはじまる。しかし運ばれてきた料理はどれも紹介が済むとそのまま下げられていき、アリスはなにも食べることができない。アリスがスピーチをはじめようとすると、食器や女王たちが変形しはじめあたりは大混乱に陥る。かんしゃくを起したアリスは、小さくなった赤の女王を捕まえる。

第10章 ゆすぶると/第11章 めざめると
そして女王をゆすぶると、その姿は不意に子猫のキティに変わる。

第12章 どちらの夢だった?
アリスはどうやら夢を見ていたらしいと悟り、子猫たちにあれこれ問いかけたあと、この夢ははたして自分の夢だったのか、それとも赤の王の夢だったのかと自問する。