二十八部衆というのをご存知でしょうか。
東西南北と上下に各四部、北東・東南・北西・西南に各一部ずつが配されており、合計で二十八部衆となる千手観音の眷属でして、各々500人の部下を持つ、といわれています。
鎌倉時代に造られた、三十三間堂にある像などが有名ですよね。
一般には千手観音のお経「広大円満無礙大悲心陀羅尼神呪」(こうだいえんまんむげだいひしんだらにしんじゅ)を誦持する者を守護するといわれています。
今回は、そんな二十八部衆のひとり、密迹金剛力士(金剛力士)です。
【密迹金剛力士】
密迹金剛力士、正しくは金剛力士という。
サンスクリットではVajradharaと表し、”金剛杵(仏敵を退散させる武器)を持つもの”の意味があり、執金剛神と呼ばれる。
執金剛神は一体の神であるが、それが二体に分かれ金剛力士となった。
開口の阿形と、口を結んだ吽形の二体一組で、仏敵を防ぐ守護神として存在する。
上半身裸形で、筋骨隆々とし、阿形像は怒りの表情を顕わにし、吽形像は怒りを内に秘めた表情に表わすものが多い。
阿吽(あうん)は仏教の呪文(真言)の1つで、梵字に於いて、阿は口を開いて最初に出す音、吽は口を閉じて出す最後の音であり、そこからそれぞれを宇宙の始まりと終わりを表す言葉とされた。
また阿吽は万物の根源から智徳の帰結までを表し、すなわち金剛力士は全ての世界の中で一切の邪悪を寄せ付けない、無限の力を意味するのである。
千手観音の眷属である二十八部衆の中の二神としては、阿形は「那羅延堅固王」、吽形は「密迹金剛力士」と呼ばれる。
【二十八部衆】
密迹金剛力士⇒ 金剛力士
那羅延堅固王⇒ 那羅延天
東方天⇒ 持国天 ”四天王・持国天!二十八部衆の東方天にして、国家安泰・家内安全の守護神!”東方を守護する。
毘楼勒叉天⇒ 増長天 ”四天王・増長天!二十八部衆の毘楼勒叉天にして、無尽の宝を生み出す商売繁盛の仏!”南方を守護する。
毘楼博叉天⇒ 広目天 ”四天王・広目天!二十八部衆の毘楼博叉天にして、無量の寿命を与える無病息災の仏!”西方を守護する。
毘沙門天⇒ 多聞天 ”四天王・多聞天!北方守護の最強の神・毘沙門天!”北方を守護する。
梵天⇒ 帝釈天 ”四天王天・帝釈天!三主神たる梵天!”天を守護する。
帝釈天⇒ 梵天 ”四天王天・帝釈天!三主神たる梵天!”天を守護する。
毘婆迦羅王⇒ ドゥルガー
五部浄居天⇒ 閻魔
沙羯羅王⇒ 八大竜王
阿修羅王⇒ 阿修羅 ”八部衆・阿修羅!帝釈天と戦い続ける戦闘神!”
乾闥婆王⇒ 乾闥婆 ”八部衆・乾闥婆!阿修羅に敵対する半神半獣の奏楽神団!”
迦楼羅王⇒ 迦楼羅 ”八部衆・迦楼羅!降魔、病除、延命をもたらす鳥頭人身有翼の神!”
緊那羅王⇒ 緊那羅 ”八部衆・緊那羅!半人半馬の歌舞神!”
摩侯羅王⇒ 摩侯羅 ”八部衆・摩睺羅伽!大蛇を神格化した音楽の神!”
金大王⇒ 夜叉 ”八部衆・夜叉!人の精気を喰らう鬼神・鳩槃荼!”
満仙王⇒ 夜叉 ”八部衆・夜叉!人の精気を喰らう鬼神・鳩槃荼!”
金毘羅王⇒ 宮比羅
満善車王⇒ 緊那羅 ”八部衆・緊那羅!半人半馬の歌舞神!”
金色孔雀王⇒ 孔雀明王
大弁功徳天⇒ 吉祥天/弁才天
神母天⇒ 鬼子母神
散脂大将⇒ パーンチカ
難陀龍王⇒ 難陀竜王
摩醯首羅王⇒ 大自在天
婆藪仙人⇒ リシ
摩和羅女⇒ 地天