歌舞伎は世界に誇る、日本の伝統芸能です。
しかし、元々400年前に登場したときには、大衆を喜ばせるための一大エンターテイメントだったのです。
なんとなく難しそうなので、ということで敬遠されている方も多いのかもしれませんが、そもそもは庶民の娯楽だったもの。
一度観てみれば、華やかで心ときめく驚きと感動の世界が広がっているのです。
しかも歌舞伎は、単に400年もの間、ただただ伝統を受け継いできただけではありません。
時代に呼応して常に変化し、発展・進化してきているのです。
This is ” KABUKI ” ( ノ゚Д゚) もっと歌舞伎を楽しもう!(4) 演目の分類と一覧について
前回は歌舞伎の演目をざっと整理してみましたので、ここからは具体的な演目の内容について触れてみましょう。
今回は、歌舞伎十八番の中から『鎌髭』です。
鍛冶屋の四郎兵衛(実は三保谷四郎)が、廻国の修行者快哲(実は景清)の首を髭剃りに事よせて鎌で切ろうとするも、景清は不死身のために切れないという筋です。
安永3年4月(1774年5月) 中村座で四代目市川團十郎が初演。桜田治助作の「御誂染曾我雛形」の二番目の大切が原形といわれており、1910年(明治43年)に二代目市川段四郎と二代目市川猿之助が、明治に竹柴金作の書いた台本で復活上演しています。
近年ですと、一昨年市川海老蔵京都・南座で開幕した五月花形歌舞伎で、お家芸「鎌髭」を二百数十年ぶりに復活させています。
明治以前の「鎌髭」は
「不死身の力を持った豪傑が六部(諸国巡礼の修行者)に化けて、ある宿に泊まる。
六部が髭を剃りたいというので、宿の下男が鎌で髭を剃ってやることになる。
実は下男は六部の敵で、髭剃りにかこつけて鎌で首をかこうとする。
しかし、六部は不死身の体質なので首が切れない」
といったおおまかな趣向だけ決まっているものの、ちゃんとした脚本は残っていなかったようです。
実は「鎌髭」という芝居は歌舞伎十八番のひとつにしては、江戸時代から今日までの間にわずか5回しか上演されていない、きわめて珍しい芝居です。