This is ” KABUKI ” ( ノ゚Д゚) もっと歌舞伎を楽しもう!(38) 歌舞伎十八番・嫐

歌舞伎は世界に誇る、日本の伝統芸能です。
しかし、元々400年前に登場したときには、大衆を喜ばせるための一大エンターテイメントだったのです。
なんとなく難しそうなので、ということで敬遠されている方も多いのかもしれませんが、そもそもは庶民の娯楽だったもの。
一度観てみれば、華やかで心ときめく驚きと感動の世界が広がっているのです。
しかも歌舞伎は、単に400年もの間、ただただ伝統を受け継いできただけではありません。
時代に呼応して常に変化し、発展・進化してきているのです。

This is ” KABUKI ” ( ノ゚Д゚) もっと歌舞伎を楽しもう!(4) 演目の分類と一覧について
前回は歌舞伎の演目をざっと整理してみましたので、ここからは具体的な演目の内容について触れてみましょう。
今回は、歌舞伎十八番の中から『嫐(うわなり)』です。

『嫐』は女性の嫉妬を描いた芝居で、三代目歌川豊国(歌川国貞)の描いた十八番の錦絵などを参考にして創作されたものが、初世團十郎(のちに二世團十郎)が演じて当たりをとったものが初演とされ、歌舞伎十八番に制定されました。昭和11(1936)年に十世團十郎が、能の「葵上」をもとにした創作舞踊として『嫐』を上演したり、昭和61年(1986年)に二代目尾上松緑が復活上演しているようですが、今回の海老蔵版『嫐』はまったく新たな着想で復活するようです。

台本が伝わらないので詳細は不明ですが、初代と二代目團十郎の上演した芝居について記録した『金之揮』によれば、
「初代團十郎演じる甲賀三郎が岩穴に落ちるとその中に屋敷があり、三郎の妾であるみな月がいた。
 三郎がそのみな月と蚊帳の中での濡れ事を演じているところに、二代目團十郎演じる三郎の娘くれ竹が現れる。
 くれ竹には死んだ本妻の怨霊がとり付いており、三郎や妾に対して嫉妬の所作を見せる」
という内容だったといわれています。

ちなみに「うわなり」とは後妻のことで、『嫐』で取り上げているのは後妻打ちのことだそうです。
後妻打ちと書いて「うわなりうち」と読むそうですが、これは夫が後妻と結婚するとき、先妻が予告のうえで後妻の家を襲う風習だったのだそうです。
往々にして、男性が妻と離別して1ヶ月以内に後妻をむかえた時に起こされたそうですが、。
「御覚えこれあるべく候、x月x日x刻参るべく候」と後妻打ちに行く旨をあらかじめ伝えて始まるのです。
当日は、身代によって相応な人数をこしらえ、竹刀を主として携え、後妻方に押し寄せ台所から乱入し、後妻方の女性たちと打ち合うものだそうで、折を見て双方の仲人や侍女郎たちが共にあらわれて仲裁に入り、双方手打ちにして引き上げるというふうであったそうですが、実際には大怪我になったりや死者が出る事もあったといわれています。

このように、本来の後妻打ちが離縁された元の妻が後妻に対して行う争いであるのに対して、『金之揮』に収められている内容では本妻(といっても死霊が娘にとりついたもの)が妾に対して嫉妬の念を燃やし、女ふたりが色男を間にはさんで争うという演目となっています。

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