例年になく美しく咲き乱れる今年の桜ですが、これも今のほんのひと時の間。
わずかな間に精一杯の花を見せてくれる桜は、はかない美しさの代表、といってもよいのかもしれません。
そんな桜にちなんだ映画を探してみると、やっぱり桜の美しさは日本映画でしか堪能できないことに気付かされます。
では、思い付くままに並べてみましょう。
[細雪]
監督:市川昆、出演:佐久間良子、岸惠子、吉永小百合、古手川裕子
谷崎潤一郎の代表作を映画化。鶴子、幸子、雪子、妙子の4姉妹が織り成す人間模様。
春を告げる桜の木の下を、4姉妹が美しい着物姿で歩く。
[桜の園]
出演:中島ひろ子、福田沙紀、つみきみほ、杏
舞台となる女子高で行われるチェーホフの「桜の園」。
桜が全編に登場し、校庭の桜並木が息を呑む美しさとなっている。
[春の雪]
出演: 妻夫木聡、竹内結子
三島由紀夫原作の『豊饒の海 第一巻・春の雪』を映像化したもの。
刹那的な恋愛が、咲いてもすぐに散ってしまう桜と合い重なって、とても哀しく美しい映像を堪能できる。
[はつ恋]
出演:田中麗奈
母の思いを知った主人公が、そのはつ恋相手を探しにいくストーリー。
桜は、出会いと別れの季節に咲く花。ゆえに、桜に美しさを感じると同時に、寂しさも感じるマユゲ。
あの“願い桜”の下で、もう一度だけ会いたい…という、24年前の母の切ない想いが、美しい桜に象徴的に表れる感動作。
[ラスト サムライ]
出演:トム・クルーズ、渡辺謙、真田広之
明治初頭の日本を舞台に、時代から取り残された侍達の生き様を描く。
満開の桜が舞う寺の境内やラスト近くの映像は、サムライのはかなさを相まった象徴的な映画となっている。
[桜、ふたたびの加奈子]
出演:広末涼子、 稲垣吾郎
あの子はきっと 生まれ変わって 帰ってくる。
桜をモチーフに、母と子の絆、生まれ変わりを描く感動作。
[夕凪の街 桜の国]
出演:田中麗奈、藤村志保
広島のある 日本のある この世界を 愛するすべての人へ―
広島原爆投下から10年後と現代に生きる2人の女性を通して、現在までに至る原爆の影響を描いた、こうの史代原作『夕凪の街 桜の国』。韓国、フランス、アメリカ、オーストラリアなど十カ国で出版され、海外でも注目を集める感動の物語。
[四月物語]
監督:岩井俊二 出演:松たか子
東京の大学に通うため北海道の親元から離れてひとり暮らしを始めた女子大生。
解放感と不安の交錯するその新しい生活が、初春の武蔵野を舞台に淡々としたタッチでつづられていく。
[HANA-BI]
監督:北野武 出演:北野武、岸本加世子 97年ヴェネチア映画祭グランプリ受賞
捜査中の事故で下半身付随になった同僚刑事の物語。
薄暗い屋根の家々ばかりの風景の中で、鮮やかな桜が悲しくも美しく描かれる。
[Dolls]
監督:北野武 出演:菅野美穂、西島秀俊
日本の四季をとても繊細に表している。
一本の赤い紐につながれ、あてもなくさまよう男女。忍び寄る死を予感した老境のヤクザと、彼をひたすら待ち続ける一人の女。事故により人気の絶頂から転落したアイドルと、それでも彼女を慕い続ける青年。映画監督・北野武が贈る三つの愛の物語。