【千夜一夜物語】(48)  羊の脚の物語(第787夜 – 第788夜)

前回、”カマールと達者なハリマとの物語”からの続きです。

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昔、カイロにある女がいたが、その女は1人の夫では満足できず、2人の夫を持っていた。
1人は泥棒のハラムで夜外に行き、昼家にいて、もう一人はスリのアキルで、昼外に行き、夜家にいた。
このため、2人の夫は互いの存在を知らずにいた。

ある日、ハラムが旅に出ることになったので、女は弁当を持たせて送り出した。
ところが同じ日アキルも旅に出ることになり、女は弁当を持たせて送り出した。
ハラムとアキルは、旅先の旅館(カーン)で出会い、意気投合したが、持っている弁当の羊の脚が同じもので、合わせると切り口がピッタリ一致したので不審に思い、互いに住所を聞くと同じ場所だったので、女に騙されていることが分かった。
しかし、2人はその女が好きだったので、女に復讐するのではなく、「より見事な腕前を示した方がその女の夫となる。
」ということにした。

スリのアキルはユダヤ人両替商が持っていた500ディナール入りの袋をスリ取り、そこから10ディナール抜き出し、自分の指輪を入れて封をし、気付かれないようにユダヤ人両替商のポケットに戻した。
そして大声で「ユダヤ人両替商に金を取られた」と騒ぎ立てた。
法官(カーディー)が来て双方に袋の中身を聞くと、ユダヤ人両替商は500ディナールと答え、アキルは490ディナールと指輪と答えた。
法官が袋を見るとアキルが正しかったので、袋はアキルの物になり、ユダヤ人は罰を受けた。

泥棒のハラムは、帝王の宮殿に忍び込み、小姓のふりをして、横になっている帝王をマッサージしながら、「ユダヤ人から金をすった男と、宮殿に忍び込み帝王をマッサージした男とでは、どちらがすごいか。
」と聞いた。
帝王は「帝王の宮殿に忍び込んだ方がすごい」と言った。
こうして女はハラムの妻となった。

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次回は、運命の鍵です。

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