琉球ガラス(沖縄ガラス、琉球硝子)は、雑多な瓶を溶かして再生することで厚手の赤色や緑色などの多彩な色合いとなり、再生の過程で混入する気泡と相まって独特の味わいを持つ、沖縄本島を中心に生産されるガラス工芸品です。
沖縄でガラス器の製造が始まったのは約100年前だと言われていますが、戦後の資源難のため、アメリカ軍基地で捨てられたコーラやビールの空き瓶を溶かして再生したことから始まる手工芸品です。
主に吹きガラス技法によって製作し、さざなみのようなひび割れ模様、細かい気泡の入った柔らかな色合いの泡ガラスなどガラス職人の心意気が手作りのぬくもりとして伝わってくる点が特徴です。
吹きガラス技法は、鉄パイプ一本で色々なガラス器をわずか数分のうちに作れてしまうことから、観光客でも手軽に体験できる魅力がありますね。
熔解窯の坩堝の中に投入された原料は、1,400℃の高熱で一晩かけて完全に熔解され、ガラスの素地となります。
この後、素地を必要なかたちに成型するとガラス製品になります。
吹きガラスの成形途中のガラスが1,000℃~1,200℃のときに瞬間的に水に浸すと、ガラスの表面に細かいひびがたくさん入りますが、これを整形窯でもう一度過熱すると、ひびとひびの間がくっつき、ひび模様(アイスクラック)となります。
また、表面を予めマスキングし、圧縮空気によって金剛砂をガラスの表面に吹き付けることで、模様や文字等を彫刻するサンドブラストという加工の仕方ができます。(全体に加工をすると、半透明のすりガラスになる)
ソーダ石灰ガラスである琉球ガラスは、珪砂と呼ばれる砂を主原料に、ソーダ灰や石灰、ガラスの断片などを調合して作られていますが、原料を調合する段階で色を出す金属酸化物を混入し、溶かして発色させます。
琉球ガラスの基本の色は、オレンジ・茶・緑・水色・青・紫の6色で、基本の色以外にも調合によりピンクや黄色、黒など、濃淡を含め、様々な色を作ることができます。
琉球ガラスの特徴は、手作りガラスの造形美や、気泡や色のグラデーションといったやさしい美しさです。
職人がひとつひとつ作り上げた芸術的なグラスを手に取ると、職人の暖かさが伝わってきますね。
普段使いだけでなく、インテリアとしても是非とも生活の中に取り入れてみてください。