建築不可能な構造物や、無限を有限のなかに閉じ込めたもの、平面を次々と変化するパターンで埋め尽くしたもの、など非常に独創的な作品を作り上げた、オランダで愛されてやまない画家マウリッツ・コルネリス・エッシャー(Maurits Cornelis Escher)。
エッシャーの作品はウッドカット、リトグラフ、メゾティントを駆使してのトリックアート版画でよく知られていますが、だまし絵と聞けば誰しもがまず最初にその名前を思い出さずにはいれませんね。
そんなエッシャーが、イタリアの首都ローマから約20キロ北東の街、モンテチェーリオの要塞を描いた未発表の作品がこの8月に見つかり、ニュースになっていました。
どうやらこれは、非常に重要な初期の作品のようで、エッシャーが建築装飾美術学校で学んだことと、後にイタリアで見た風景を結びつける貴重な作品と評されているようです。
第二次大戦が終わった後、エッシャーはイタリアの風景での経験を新たな視点から捉えることで、典型的な彼の作品に変えた、とも言われる程転機となった作品。
秋の夜長に、改めてエッシャーの作品の数々を愛でてみるのも一興かと思います。