9年毎のラブストーリークロニクル!互いを理解しようとする男女の形!

恋愛映画というだけでなく、映画自体としても異例の9年毎に同じ時系列の流れのまま撮られている「ビフォア」シリーズ。
一言でいえば、アメリカ男性のイーサン・ホークとフランス女性のジュリー・デルピーとのヨーロッパにおけるほんの半日から24時間以内の会話を描くというものですね。

1995年公開の第1作 BEFORE SUNRISE ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)。
ハンガリー・ブタペストからフランス・パリヘ向かう国際長距離列車の中で出逢った学生の2人が、オーストリア・ウィーンで途中下車し、夜明けまでウィーンの街を歩きながら楽しく語り合うストーリー。
イーサンは早朝のフライトでアメリカに戻る際「半年後、ここで再会しよう」という約束を、あえてお互いの連絡先を知らないまま交わします。
しかし当時は今のようにメールも携帯電話もまだまだ普及していない時代。
再会の約束をしても実現することはなく、音信不通のまま時は過ぎ…。

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9年後の2004年公開の第2作 BEFORE SUNSET ビフォア・サンセット。
小説家として成功したイーサンは結婚して一児の父親になっており、ヨーロッパをプロモーション・ツアー中。
9年前のウィーンでの想い出の一夜のことを書いた小説のサイン会でフランス・パリを訪れ、そこでジュリーと再会します。
飛行機が出発する日暮れまでの数時間、9年前のことやその後の自分たちの生活について、パリの街を歩きながら話して盛り上がる2人。
そうしているうちにイーサンがフライトを逃してしまったところで映画はエンドロールを迎えます。

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更に9年後の2013年公開の第3作 BEFORE MIDNIGHT ビフォア・ミッドナイト。
イーサンとジュリーの間には双子の娘が誕生していて一緒にパリで暮らしており、今はバカンスでギリシャの田舎で数ヶ月滞在中。
イーサンは、今はティーンになっている元妻との間に生まれた息子と離れて暮らさなければならないことで悩んでいる。
ジュリーは、仕事、子育て諸々の日常生活ひとつひとつがうまくいかずに悩んでいる。
そんな2人が夜中まで喜怒哀楽オシャベリし続けるストーリー。

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流れはとても単純で、時間の経過の中で2人の恋愛の行方を見るだけのものですが、歳相応の問題や悩み、考え方などが巧みにセリフに盛り込まれていて、まさに等身大の自分にオーバーラップさせながら観れる映画ですよね。
将来のこと、仕事のこと、家族のこと、体型を含めた歳を重ねること、こうした重くのしかかる問題に、2人が本気で向き合い、ぶつかりながらも話し合っているからこそ、2時間近くの本編であるにもかかわらず共感度が維持できてしまうんだと思います。
自分も同じ年齢層(若干無理やり)にはまることもあって、タイムリーに楽しむことのできる数少ない映画。

男と女。
全く違う生き物であって、100%完璧に分かり合うことは難しい。
だからこそ、互いを理解しようとする姿にひとつの理想形を見出せるからこそ、この映画は男女を問わず多くの人達に愛されているものだと思います。

これは2人の物語ではありますが、さらに観る人達ひとりひとりの人生に呼びかけるステキな映画!

あー、相手が自分をわかってくれない、っていうもどかしい気持ちを抱いているあなたへ。
「ビフォア」シリーズをご覧になったことがない、もしくは全部までは観ていない、もしくは随分昔に観たまますっかりその感動を忘れてしまった、というあなたには、是非ともこの映画をお薦めします。

2022年の次回作を期待しながら。

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