エスペラント語を学んでみる!(4)言葉のルールについて その2

ゆるーくエスペラントを覚えていこうという、このコーナー。
今回は前回に引き続き、言葉のルール その2です。
エスペラント語を学んでみる!(3) 言葉のルールについて その1

【動詞】

 エスペラント語の動詞には単語のお尻(語尾)に-asがつきます。
 また動詞は、時制によって語尾が決まっています。不規則変化動詞や例外はありません。
 不定法は辞書の見出し語として用いられる原形で、iで終わる。例:paroli(話す)。
 現在形はasで終わる。例:mi parolas(私は話している)。
 過去形はisで終わる。例:mi parolis(私は話した)。
 未来形はosで終わる。例:mi parolos(私は話すだろう)。
 仮定法はusで終わる。例:shi parolus(彼女は話すかもしれない)。
 命令法はuで終わる。例:ni parolu(話せ)。

【分詞】

国際語には分詞が2種類ありますが、それは可変的・形容詞的なものと、不変的・副詞的なものです。
また、動詞語根に分詞接尾辞と品詞語尾の組み合わせにより、分詞名詞・分詞形容詞・分詞副詞を作ることができる。

・分詞接尾辞
 現在分詞能動態はantで終わる。例:far’ant’a(する~);far’ant’e(している/しながら)。
 過去分詞能動態はintで終わる。例:far’int’a(した~);far’int’e(していた/してしまって)。
 未来分詞能動態はontで終わる。例:far’ont’a(これからする~);far’ont’e(しようとして)。
 現在分詞受動態はatで終わる。例:far’at’a(されている);far’at’e(されていて)。
 過去分詞受動態はitで終わる。例:far’it’a(された);far’it’e(されて)。
 未来分詞受動態はotで終わる。例:far’ot’a(これからされる);far’ot’e(されようとして)。
 受動態は全て動詞est(~である)の活用形と、必要な動詞の受動態分詞とを併せて用いる。例:i est’as am’at’a de iu’j(彼女はみんなに愛されている)。

・ Tempo sage pasis. 時間が矢のように過ぎた。
・ Japana ekonomio rapide progresos. 日本経済は急速に発展するだろう。
・ Japano manĝis krudan fiŝon. 日本人が生の魚を食べた。
・ Esperanto estos nia komuna lingvo. エスペラントは私たちの共通語となるだろう。

・分詞名詞
 heredonto 相続人
 juĝoto (裁判前の)被告
 kaptito 捕虜,
 konato 知人,
 leganto 読者
 mortinto 死者

・分詞形容詞
 daŭrigota (続けられる=続く).
 estimata (尊敬される),
 fermita (閉められた=閉まった),
 fluanta (流れている)
 pasinta (過ぎ去った=過去の)
 venonta (来ようとしている=今度の)

・分詞副詞
 Aŭskultante radion, Maria faras hejmtaskon.(ラジオを聴きながら、マリアは宿題をする)

【人称代名詞】
 人称代名詞は以下のようになります。
 人称   単数            複数
 第一人称  mi (私)          ni (私たち)
 第二人称  vi (あなた)        vi (あなたたち)
 第三人称 男性  li (彼)       ili(彼ら)
      女性    ŝi (彼女)    ili(彼女ら)
      中性    ĝi (それ)    ili(それら)
      再帰    si (自身)    si (自身)
      総称    oni (人々)

 所有代名詞はそれぞれの人称代名詞に形容詞語尾を付けます。
 代名詞の格変化は名詞と全く同じです。例:mi(私は);mi’n(私を);mi’a(私の)。

対格
・代名詞の対格は名詞と同じく -n をつけます。
 Mi amas vin. (あなたが好きです。)

所有形
・代名詞の所有形は -a をつけます。語尾変化は形容詞と同じです。
 via komputilo (あなたのコンピューター)
 miaj libroj (私の本)
 Mi amas mian edzon. (私は夫を愛しています。)

再帰代名詞
・三人称の主語が再び同一文中に現れるとき、再帰形 si となります。
 (A)  Petro amas sian edzinon.
 Petro = si   ペトロは自分(ペトロ)の妻を愛している。
 (B)  Petro amas lian edzinon.
 Petro ≠ li   ペトロは彼(ヨハン)の妻を愛している。
  AとBの意味の違いに注意。

【冠詞】
 冠詞のaと名詞の語末のoは音調をよくするために脱落させてもよいとされています。
 つまり、de la mond’oをde l’mond’oに、iller’oをiller’の様にする訳です。
 この様な場合、脱落させた母音の代わりにアポストロフィ(’)を使うことになっています。

 定冠詞 la があるだけで、不定冠詞はありません。

・数・格による変化はありません。
 定冠詞は、そのものが既知のものであること、特定のものであることを示します。
 次の例文を参考にしてください。
 Antaŭ longa tempo ie vivis maljunulo kaj maljunulino. La maljunulo ĉiutage iris al la montoj por kolekti brullignojn.
La maljunulino iris al la rivero por lavi tolaĵojn.
 昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが 住んでいました。
 おじいさんは 毎日山へ柴刈りに、おばあさんは 川へ洗濯にいきました。

【造語・接尾辞と接頭辞】
 エスペラントでは単語と単語をくっつけていくらでも新しい単語を作り出すことができます。
 造語を支援するものとして接頭辞・接尾辞というものがあります。
 接尾辞(単語のしっぽにつけることば)や接頭辞(単語の頭につけることば)で限られた単語の知識を、数十倍に活用することができます。

語尾の付替え
・品詞語尾の付け替えで、他の品詞の単語を作ることができます。
 ĝoji (喜ぶ/動詞) → ĝojo (喜び/名詞) → ĝoja (喜ばしい/形容詞)

・品詞語尾のない単語に品詞語尾をつけて、新しい単語を作ることができます。
 antaŭ (~の前に/前置詞) → antaŭa (前の/形容詞)
 mal- (正反対/接頭辞)   → male (逆に/副詞)

たとえば「〜性/〜さ」に相当する接尾辞 -ec- を用いると、
 amiko  友人 amikeco  友情 danĝera 危険な danĝereco 危険性
 komuna 共通の komuneco 共通性 rapida  速い rapideco  速さ
となりますが、「正反対」を表す接頭辞 mal- を用いると、
 amiko 友人 malamiko 敵 malamika 敵の malamike 敵対して
 sano 健康 malsano 病気 malsana 病気の malsane  病気で
となります。

・ rapide progresas 急速に 発展している
・ malrapide progresas ゆっくり 発展している
・ rapide malprogresas 急速に 後退している
・ malrapide  malprogresas ゆっくり 後退している

・接頭辞の主なもの
 ek- (動作の始) : iri (行く) → ekiri (出発する)
 ge- (男女併称) : patro (父親) → gepatroj (両親)
 mal- (正反対) : bona (良い) → malbona (悪い)
 re- (復帰) : doni (与える) → redoni (返す)

・前置詞などが接頭辞として使われるもの
 en (~の中に) : iri (行く) → eniri (入る)
 kun (~と共に) : laboro (労働) → kunlaboro (協力)

・接尾辞の主なもの
 -aĵ- (事物) : manĝi (食べる) → manĝaĵo (食べ物)
 -eg- (強大) : varma (暖かい) → varmega (暑い)
 -et- (弱小) : vojo (道) → vojeto (小道)
 -ig- (他動) : scii (知っている) → sciigi (知らせる)
 -iĝ- (自動) : tago (日) → tagiĝi (夜が明ける)
 -in- (女性) :  viro(男) → virino (女)
 -ul- (人) : juna (若い) → junulo (若者)

語の結合
・語根どうしを結合し、最後に品詞語尾を付ける。
 fer- (鉄) + vojo (道) → fervojo (鉄道)
 tag- (昼) + mezo (真中) → tagmezo (正午)

 接頭辞・接尾辞を活用した造語の例を次に示します。
 エスペラントでは、論理的・実際的に意味が通じる限り、これらの造語を自由に行うことができます。
 造語法の活用により、エスペラントでは少数の語根から豊かな表現をすることが可能になっています。
 san/a 健康な
 san/e 健康で mal/san/a 病気の
 san/ej/o 療養所 mal/san/e 病気で
 san/o 健康 mal/san/o 病気
 san/ig/i 健康にする mal/san/ig/i 病気にする
 san/ig/a 健康増進の mal/san/ig/a 健康に悪い
 san/ig/il/o 健康増進剤 mal/san/em/a 病気がちの
 san/ig/ist/o 健康法唱道者 mal/san/et/a 気分が悪い
 re/san/ig/i 治療する mal/san/et/o 軽い病気
 re/san/ig/a 治療用の mal/san/iĝ/i 病気になる
 re/san/ig/ej/o 保養所 mal/san/ul/o 病人
 re/san/ig/il/o 治療薬 mal/san/ul/ej/o 病院
 re/san/iĝ/i 病気がなおる re/mal/san/iĝ/o 病気の再発
 re/san/iĝ/o 健康回復 san/eg/a 非常に健康な, san/ul/o 健康な人

【数詞】
 エスペラント語の複数形には名詞とそれを修飾する形容詞の語尾(-o,-a)の後に-jが来ます。
 読み方はアィ、オィです。
 例・・・bonaj amikoj ボーナィ アミーコィ よき友人達

・基本数詞
 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 100 1000
 unu  du   tri  kvar kvin ses sep  ok  naŭ dek cent mil

 これ以外の数は基本数詞の組み合わせで表します。
 11 = dek unu, 12 = dek du, 20 = dudek, 21 = dudek du,
 1995 = mil naŭcent naŭdek kvin.

・順序数
 形容詞語尾または副詞語尾をつけて表します。
 la unua (第一の)  la dua (第二の)  la tria (第三の)
 unue (第一に) due (第二に) trie (第三に)
 
 基数詞は格によって変化しません。
 unu(1), du(2), tri(3), kvar(4), kvin(5), ses(6), sep(7), ok(8), na(9), dek(10), cent(100), mil(1000)。
 大きな数は基数詞を単純につなげてつくります。
 例:583 = kvin’cent ok’dek tri。
  序数詞は基数に形容詞接尾辞のaを付加してつくります。例:unu’a(1番目の);du’a(2番目の)等。
  倍数詞は基数にoblを付加します。例:tri’obl’a(3倍の)。
  分数詞はonを付加します。例:du’on’o(1/2);kvar’on’o(1/4)。
  集合数はopを付加します。例:kvar’op’e(4つ一組で)。

【前置詞】
 前置詞は全て主格支配です。
 国際語における前置詞はみな、確定した意味を持っています。
 もし、なんらかの前置詞を使う必要があるが適当なものがない場合には、確定的な意味を持たない単語jeを使います。
 例:oj’i je tio(それを喜ぶ), rid’i je tio(それを笑う), enu’o je la patr’uj’o(祖国への憧れ)。
 この様な場合、各言語で違った前置詞が使用されていますが、国際語ではただ1つの語jeが全てに前置されます。
 意味の混乱のおそれのない時にはjeの代わりに前置詞なしの目的格を使用してもよいそうです。

 前置詞は、名詞・代名詞の主格、動詞不定形などの前にたって、その語と文中の他の語との関係を示します。
 Petro parolas en esperanto. (ペトロはエスペラントで話す。)
 batalo por vivi (生きるための闘い)

 前置詞+名詞対格で移動の方向や変化の結果を示します。
 Mi kaŝis min sub la tablon. (机の下へ身を隠した。)
 La glaso rompiĝis en pecetojn. (グラスは粉々に砕けた。)

【接続詞】
 単語と単語、文と文を対等に接続したり、文を他の文や単語に関係付けます。
 paco kaj libero (平和と自由)
 Mi ĝojas, ke vi bone fartas. (お元気で何よりです。)

【間投詞】
 呼びかけや感情を表す語です。
 例:
 Fi ! (チェッ/嫌悪)
 Haloo ! (もしもし/電話の呼びかけ)
 Ve ! (ああ/悲しみ)

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