『そして父になる』で知られる是枝裕和監督によって映画実写化され、第68回カンヌ国際映画祭「コンペティション部門」にも出品された『海街diary(海街ダイアリー)』が、6月13日から全国公開となります。
原作は、累計発行部数は250万部を突破し、2013年のマンガ大賞も受賞、「月刊フラワーズ」で連載中の吉田秋生さんの人気漫画ということで、またマンガの原作かあ、と思っていたのです。
しかし、それをあえて是枝監督がメガホンを取ったことと、登場人物それぞれがひとつの家族となっていく人間ドラマということもあって、一度偏見を捨ててみようと思うに至りました。
ストーリーはこんな感じです。
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鎌倉で暮らす三姉妹(長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳)の元に、自分たちが幼い頃に離婚して家を出て行った父の訃報が届いた。
15年以上会っていない父の死を特に何とも思えない次女・佳乃と、父との思い出がほとんどない三女・千佳。
それでも長女・幸の頼みで葬式に出るために山形へ赴いた佳乃と千佳は、そこで年齢のわりにしっかりしている中学1年生の異母妹・すずと初めて出会う。
既に母も亡くしていたすずは父の再々婚相手の家族と暮らしていた。
気丈だが感情を見せないすずに対し、葬儀の打ち合わせで会った亡父の妻は頼りなく、佳乃はすずの今後について安請け合いする亡父の妻に不信感を抱く。
妹たちと違って記憶が確かな幸は父を許せなかったが、葬式の帰り、幸はすずに亡父のことで感謝の言葉をかける。
すずは堪えていた感情が爆発するように号泣した。
幸はそんなすずに「鎌倉に来て一緒に暮らそう」と誘い、すずは快諾した。
そして四十九日を済ませた翌週に、父を亡くした地を後にしたすずが鎌倉の姉たちが住む一軒家に引っ越してきた。
異母妹を「四女」として迎えた香田家の新たな共同生活が始まる。
月日が流れ、鎌倉の生活に馴染んだすずの下を金沢から母の妹だという人が訪ねてくる。
すずは不倫から始まった両親や自身の出生に関して負い目を感じており、特に自分の母の話題を香田家では避けていた。
母の実家は自分達を嫌って縁を切ったと思い込んでいたため、叔母の訪問を受けても今更という気持ちが強い。
しかし、叔母から母とその実家の事情を聞き、家を捨てた母は許されないことで筋を通し、一主婦から夫である祖父の死を機に老舗を継いだ祖母は許さないことで筋を通したが、お互いを大切に思い合っていたことを知る。
すずは、遺産相続の話し合いのために姉たちと金沢を訪れた際に伯父から亡母の振袖を贈られる。
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映画では、それぞれ秘密を抱える4人がどのような姉妹、家族になっていくか、成長の1年が描かれているようです。
鎌倉の春、梅雨、夏と美しい季節が物語を彩り、ステキな四季の風景も感じられる作品になっているとのこと。
実はこれに際して原作を読んでみたのですが(絵の好みは別としても)姉妹4人の心情がそれぞれ切なくていいんですよね。
マンガ大賞を取ったとはいっても、これはストーリーのすばらしさによる結果だったのだな、と改めて感心させられます。
鎌倉を背景にした美しい日常が、是枝監督によってどう映像化されるのか。
非常に楽しみです。
それから、原作者の吉田秋生さんが鎌倉を舞台にした作品を描くのはこれが初めてではないそうで、過去の作品『ラヴァーズ・キス』と今回の『海街diary』とは舞台や登場人物が繋がっています。
『ラヴァーズ・キス』の主人公の恋愛相手である少年は、『海街diary』では4姉妹の次女と関係があり、その少年の姉は長女の先輩、『ラヴァーズ・キス』で重要な役割を果たす少年の弟も四女の友人の1人として頻繁に登場、恩人である酒屋の店主は『海街diary』でも登場しています。
こうした世界観も、楽しみのひとつになりますね。
ということで。
少女マンガと侮るなかれ。
『海街diary』は、なかなか泣かせます。