空海の書!ほとばしる情熱とアートなエネルギー!

空海は弘法大師の諡号で知られる真言宗の開祖でもある平安時代の僧です。

空海のことは、以前にも何度か触れていますが、今回は「弘法も筆の誤り」のことわざの由来ともなっている、書家としての空海について整理してみたいと思います。
※)以前の話題については、以下も参考にしてみてください。
 ・仏教宗派 事始め
 ・神道、仏教、儒教 事始め
 ・八十八箇所巡礼に思うこと。
 ・日本の仏像に魅せられて

そもそも空海は、希代の能書家としても知られ、嵯峨天皇・橘逸勢と共に三筆のひとりに数えられているほどです。
現存する有名な書としては、『聾瞽指帰』『灌頂歴名』『風信帖』『崔子玉座右銘』で晩年になる程その書はまさに芸術品ともアートともいえる突出した圧倒的なエネルギーを感じずにはいられません。
私も何度か臨書してみたのですが、
・『聾瞽指帰』の噴き出すような情熱と筆使いのとんでもないテクニックやリズム
・『風信帖』の卓越した技術と別格ともいえる気魄と集中力の凝縮性
・『崔子玉座右銘』の流れるような筆さばきと表現力の力強さ
には、本当にいろいろなことを教わるばかりです。

個人的には、精錬された『風信帖』『崔子玉座右銘』よりも、ピリピリ・ガツガツした、字の狭間からその情熱と荒々しさがそのままぶつけられたようなすさまじさを感じる『聾瞽指帰』はたまらない魅力を感じます。
上手い下手関係なく、個性が吹き出た字というものには、人を引き付ける凄みがあることを学べる書。
日常生活の中でぇあ、筆を握る機会もほとんどないとは思いますが、正月を迎えるこうした時期に、ゆっくりと一年の計を練る一環で、一筆したためてみてはいかがでしょうか。
そうした際には(レベルは高すぎるかもしれませんが)空海の書がお奨めです。
ご一考あれ!

『聾瞽指帰(ろうこしいき)』

roukoshiiki

『三教指帰』の初稿本に当るもので、2巻存し、入唐前、空海24歳頃の書といわれる。
書はやや硬いが筆力があり、後の『風信帖』に見られる書風とは異なる。金剛峯寺蔵。国宝。

『灌頂歴名(かんじょうれきめい)』『灌頂記』

KanjyouRekimei

空海が高雄山寺で金剛・胎蔵両界の灌頂を授けた時の人名を記録した手記。
処々書き直しているが、筆力、結構ともに流露している。神護寺蔵。国宝。

『風信帖(ふうしんじょう)』『弘法大師筆尺牘(せきとく)』

Huushincho

空海が最澄に送った書状3通を1巻にまとめたもの。いずれも行草体の率意の書で、空海の書として『灌頂歴名』とともに絶品とされる。
全体は王羲之の体。東寺蔵。

『崔子玉座右銘(さいしぎょく ざゆうのめい)』

SaishiGyokuzaYumei

後漢の崔瑗の『座右銘』100字(五言二十句)を草書で2、3字ずつ、数十行に書かれたもの。
もとは白麻紙の横巻で高野山宝亀院の蔵であったが、今は同院に冒頭10字が残るだけで、ほかは諸家に分蔵され、100字中42字が現存する。

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